暁 〜小説投稿サイト〜
おっちょこちょいのかよちゃん
208 氷雪の楽園
[2/3]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
きた。かよ子は花火をリュックから出して火薬を操る能力を得た。そして杖から弾丸を飛ばして矢を爆破した。
「うおお!」
「へん!小娘め、やりおって!このシャルル・リゴー様が何としてもやってやるぞ!」
(シャルル・リゴー・・・!?)
 杖の所有者の(いくさ)がまた始まる。

 とある雪山。そこの山は常に雪が積もっており、溶ける事はない。無論、そこには広大な氷の湖が存在し、スケートができるようになっている。今、その場にて氷の遊戯をする物達がいた。
「フーン、フ、フーン♪」
「わあ、凄いお上手ですわ!」
 一人の少年が女性達から拍手が送られる。スケートが得意なこの少年にとって一番の見せ場だった。まるでオリンピックの選手の如くジャンプやスピンを容易くこなす。
「茂様ってその『すけーと』ってのが凄いお得意なんですね」
「まあね、僕には他に取り柄がないからね」
 しかし、少年は謙虚に返しながらも内心は尊敬の眼差しを受けてとても嬉しかったのだった。
(へへへ、卑怯者と言われる僕でもスケートでは一味違うんだ・・・)
 少年はこんなに尊敬の目で見られる事が夢にも思われなかった。「前の世界」でも皆から注目を浴びる事があったが、それは卑怯な事をしたと言う事で、非難に満ちた白い目で見られる事くらいしかなかったのだ。
「茂様、顔がニヤニヤしてますよ。皆から褒められてとても嬉しそうなのですね」
 落ち着いた性格の女性が少年に近づいた。
「いやあ、それ程でも・・・」
「キャアッ!」
 その時、別の遊女が悲鳴を挙げた。滑って尻餅をついてしまったのだ。
「大丈夫かい?」
 少年はその転んだ遊女に手を貸して立たせた。
「あ、ありがとう、ございます・・・!」
 その遊女は顔を赤くした。
「皆様、そろそろ昼食の時間に致しましょう」
 別の遊女が呼んだ。
「はい、行きましょう!また転んでしまうかもしれないので一緒に手を繋いでくれますかしら?」
「あ、うん、いいよ」
 少年はその遊女の手を繋いで湖から出る。少年は頭の中である事を思い浮かぶ。
(この子も本当に可愛いなあ・・・。でも、これが笹や・・・、違う、『あの子』でもきっと凄いって言ってくれるかもしれない・・・!!もうすぐ会えるんだから・・・!!)
 少年は期待を膨らませた。雪山を降り、食事係が料理を既に用意していた。
「こちらが豚肉を利用して暖めたものです。『豚汁』といいましたね」
「おお、ありがとう!」
 少年は豚汁を貰う。
「とても美味しいよ!」
「そうですか、そう言って貰えるととても嬉しいです!」
 得意のスケートを楽しんで皆から尊敬されるなど少年にとってこの雪山はもはや楽園のような所だった。
(またいつでもここに行きたいな・・・。いや、ここに住みたいくらいだ・・・!!)
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2025 肥前のポチ