208 氷雪の楽園
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ゆりは光江、鯉沢、政美、マリエルを率いて杯の奪還に向かう準備をする。
「じゃ、私は杯を探しにいくわよ。集団で移動できるものあるかしら?」
「俺が出します!」
北勢田が矛を振るった。国鉄の特急列車に酷似した鉄道の車両が2両1編成現れた。
「おお、すげえ!」
鯉沢が列車に目を光らせた。
「でも、線路も架線もなしで動くの?」
政美が気になった。
「大丈夫な筈だぜ」
「ありがとう、北勢田君。乗るわよ」
ゆりは列車の出入り口に立つとドアが自動で開いた。ただし、車内はロングシートだった。
「ちぇ、こんなベンチ席じゃ通勤電車じゃねえけえ」
「まあ、いいじゃない。この方が話がしやすいと思うわ」
不満を漏らす鯉沢に対してマリエルは肯定的な意見を述べる。列車は架線も線路もなしで出発した。
(目的は東側か・・・。杯が敵の本部にないって事は隣の山田さんの娘と会う可能性もあるわね・・・)
ゆりはそう思いながら次の作戦を練る。
北勢田が出した列車を見送り、杯の所有者を救出する部隊も奏子の羽衣で出発する。
「それじゃ、行こうか」
あり達も出発した。
かよ子達も藤木を探す為に先へ進む。
(そういえば・・・)
かよ子はある事を思い出す。
(杉山君に会った時、りえちゃんの所に向かってた・・・。そのりえちゃんをあの女の人が連れていたって事は・・・!!)
かよ子は邪推する。
(杉山君はりえちゃんを自分の物にしようって考えてる事・・・)
かよ子は嫉妬する。
(そんな、杉山君・・・!!)
「ねえねえ、かよちゃん、何で泣いてるのお〜?」
「あ、まるちゃん!う、ううん、何でもない!!」
かよ子は誤魔化した。
「もしかして杉山さとしの事であろうな」
石松に心の中を読まれた。
「あ・・・、う・・・」
「答え辛いなら別に無理して言わなくて良い。だが、あの杯の所有者の小娘を生け捕りにした女が向かう方向からしてどう利用するのかが気がかりではあるがな」
「うん、あの人がりえちゃんを何に使うのか、向こうに行けば解るのかもしれないね」
かよ子は杉山への嫉妬は心の奥底にしまう事にした。しかし、敵に寝返る上にりえを生け捕りにして杯を奪い、一体何をしたいのかわからない。
(杉山君、一体何がしたいの・・・!?)
その時、目前で何かが爆発した。
「きゃあ!」
「ひええ〜!!」
「な、何!?」
かよ子は見回した。しかし、煙に包まれて何も見えない。その時、大量の矢が周りに飛んできた。
「な、矢じゃ、死ぬ〜!!」
友蔵は蹲った。しかし、何とか羽根の結界が働いたため、羽根に乗っているかよ子達は無傷だった。
「ほう、レーニン様の言う通り、そこに杖を持つ小娘がいたか」
煙が消えたものの、矢がまだ飛んで
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