第八十七話
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てるわけないでしょうが。
説得力ないかもしれないけど、不幸になることを望んでるわけじゃないのよ?
ちゃんと幸せになってくれることを願ってるんだから。
ちょっと婚期は遅いけど、やっと嫁さん貰ってくれるって喜んでるんだから」
「……そう言われると、些か複雑な心持ですが」
だってねぇ……そう言われてもさぁ、いつまで経っても祝言挙げないし、挙げる気がないんじゃないのかとか思っちゃうじゃん。
割と普通に。
「……ねぇ、小十郎」
「はい」
「まだ、間に合う? 助けてってのは」
小十郎が随分と渋い顔をして顔を背けている。しかし、一つ溜息を吐いてしっかり私の方へと向き直っていた。
「もう、大丈夫です。小十郎の内から獣は消えました……あの頃のように狂気に飲まれることは、もうございません」
「そっか……ならいいや」
いろいろあって、小十郎も吹っ切れたのかもしれない。そんな小十郎の頭を撫でて、私は身体を離した。
何か、ぶっちゃけたらスッキリしたような気がするぞ?
あんなもん見せられてどうしようかとも思ったし、関係もこじれるかと思ったけど……何かわだかまりが無くなった感じがする。
小十郎も表情晴れてるし。
「小十郎、仕留め損なったアレ、今度はきっちりぶっ殺そう。……私達の明るい未来の為に」
舞台上の私を白龍で差して、小十郎に言い放った。小十郎も黒龍を抜いて、しっかりと頷いた。
「ええ……あんなものを生かしておくと、今度はどんな目に遭わされるか……」
「今度こそ貞操奪われるんじゃない?」
「止めて下さい、気色悪い!!」
すっかり調子の戻った私達を見て、政宗様が呆れたように背中を叩いた。
「ったく……どっちも面倒な奴らだぜ。……しっかり恨みを晴らして来い。借りがあるんだろ?」
二人揃ってにやりと凶悪な笑みを浮かべて答えれば、政宗様が若干竦んだようでもあった。
この様子を見ていた幸村君も佐助も、関わり合いになりたくないという顔をするから困る。
「小十郎、行こうか」
「はい、姉上」
二人同時に踏み込んで攻撃を繰り出していく。私の姿をした明智は鎌を取り出して、気味の悪い笑みを浮かべながら攻撃を凌いでいる。
攻撃が当たって傷が出来ても、やっぱり血飛沫は舞わず、硝子のような破片や数字が飛ぶばかりだ。
「ああっ……痛い、痛い……!」
「ちょっ、止めてよ! 私の顔でそんなこと言うの!! あと恍惚の表情浮かべんな!!」
「ならば、もう一人の側室に」
「馬鹿野郎! 俺の顔でもそんな表情で言うんじゃねぇ!! それ以前に、どっちもテメェの側室じゃねぇ!!」
この変態、やっぱり生かしておけ
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