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イベリス
第四十九話 自分しかない人間その十二

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「お店行列出来てるから」
「原宿でそれは」
「かなりでしょ」
「本物ね」
 咲もそれでとわかった。
「それは」
「それも若い女の子がね」
「余計に凄いわね」
「若い女の子がよく行くお店はね」
「本物よね」
「そうよ、おばさんもそうだけれどね」
 それでもというのだ。
「若い女の子は正直だから」
「舌がね」
「だから美味しいとね」
「よく来るのね」
「オールバックで黒い服の新聞記者とか着物着たその父親とかはね」
 こうした輩共はというのだ。
「実はわかってないのよ」
「美味しいお店が」
「そう、しかも化学調味料入れたとかでお店の中で暴れるでしょ」
「騒ぎまくってね」
「若い女の子はそんなことしないでしょ」
「というか普通の人はしないわね」
「これはゴロツキの行いだから」
 そう言うしかないことだというのだ。
「ヤクザ屋さんかね」
「新聞記者って言いながら」
「その実はね」
「人間としてそうなのね」
「勿論父親もね、陶芸家でもね」
 そうした職業にあるがというのだ。
「その品性や人格はね」
「ヤクザ屋さんと同じね」
「それでこうした連中が何か言ってもね」 
 例えそうしてもというのだ。
「聞かなくてもいいわ」
「そうよね、お店の中で暴れるなんてね」 
 例え口に合わなくともだ。
「野蛮もいいところよね」
「そうした場合はスマートフォンで撮影して」
 そうしてというのだ。
「インターネットで流せばいいのよ」
「そうしてその行いを世間に広めるのね」
「そうしてやったらいいのよ」
「そうしたら炎上ね」
「何とか新聞記者の呆れた取材とか話題になってね」
 そのうえでというのだ。
「大炎上よ」
「そうなって新聞社自体もなのね」
「話題になるから」
「そうしたらいいのね」
「現場にいたらね、というか今だったらね」
「普通にそんなことしたらね」
「ネットにあげられるわ」
 そうした愚劣な取材の仕方がというのだ。
「昔はそれで通用したかも知れないけれど」
「インターネットがないと」
「それで記事で滅茶苦茶書いていたけれどね」
「今だとそうなのね」
「新聞記者ってそうした手合い多いみたいだけれど」 
 それでもというのだ。
「こうしたのが言う美味しさとかはね」
「信じないことね」
「私達みたいな若い女の子、成長したらね」
「おばさんね」
「お婆さんでもいいのよ、そうした人がよく行って」
 そうしてというのだ。
「列を作るお店はね」
「本物ね」
「そうよ、しかし化学調味料使ってたり口に合わないとかでお店の中で暴れて騒ぐなんてね」
 愛は顔を顰めさせて言った。
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