第四十九話 自分しかない人間その八
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「正真正銘のよ」
「悪人なの」
「自分が悪いことをしていれば反省するでしょ」
「それで行いをあらためるのね」
「けれど自分が悪人でないと思っていたら」
それならというのだ。
「自覚しなくて」
「それでなの」
「自分の悪いところも気にしなくて」
それでというのだ。
「悪人ともね」
「思わないのね」
「それで悪いことをしているともね」
そうともというのだ。
「思わないのよ」
「それって学校の授業で習ったけれど」
かな恵はここまで聞いて言った。
「悪人正機説?」
「親鸞さんのね」
「そうよね」
「そうよ、悪人っていうのはね」
「自分が悪いことをしていることをなのね」
「自覚している人がね」
まさにというのだ。
「悪人なのよ」
「そうなのね」
「本物の悪人は悪事を自覚していてもするか」
「自覚していなくて」
「する人よ」
こう従妹に話した。
「つまりはね」
「そうなのね」
「だからかな恵もね」
娘にあらためて話した。
「自覚をして」
「そうしてなのね」
「そのうえで何でもやっていってね」
「そうすることね」
「そう、悪いことを知ってね」
そうしてというのだ。
「自覚することよ」
「そしてしないことね」
「それが大事なのよ」
「そうなの」
「そう思うわ」
「思うの」
「だって私もそこまではっきりわかってないし」
ここでこう言うのだった、実際に愛は自分の人生経験を浅井と思っていてそれで咲にも話している。
「まだ大学生よ」
「それでなの」
「人生ってやっぱり経験だから」
「それが大きいの」
「だからしっかりを生きて来たお爺さんやお婆さんはね」
「経験を積んでいて」
「まさにね」
人生のそれをというのだ。
「それでよ」
「こうしたこともわかってるの」
「みたいよ。だから大学生だとね」
「私より年上じゃない」
「ほんの数年よ、数年と半世紀以上だとね」
それこそというのだ。
「重みが違うわ」
「そうなの」
「そう、それでね」
愛はさらに話した。
「そうした人と比べたら」
「お姉ちゃんもなの」
「全くよ」
それこそというのだ。
「敵わないわ」
「そうなの」
「半世紀以上確かに生きていたら」
「そうしたらなの」
「かなりのものが備わっているわ」
そうだというのだ。
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