第八十六話
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、慕ってくれたから嬉しかった。
でも、私以上に居場所が無い小十郎の様を見て、可哀想だと思いながらも何処かで安心してる自分もいた。
もし、あの妹みたいに我侭で皆に愛されて育ってきていたら……きっと私は“ふり”でしか愛せなかっただろう。
憎んでさえもいただろう。
可哀想な小十郎……私が守ってあげるからね。だから、アンタはそのままでいなさい。
アンタがそうなら私はちゃんと立って歩けるから。強くあれるから。
今も過去も含めて自分が不幸じゃないんだって思えるから。
「あねうえー……」
小さな小十郎を抱いて、私は笑う。
口では博愛染みたことを言いながら、心底弟を不幸だと思って哀れんで笑っている私は……人として最低だ。
だって、小十郎が泣いている様を見ると、こんなにも心落ち着くんだから。
だから私は、誰からも愛されなかったんだ。いずれ、この子も私を愛さなくなる……
「姉上……」
舞台上で私に扮した明智が振舞うその光景を、小十郎もまた言葉を失って見ていた。
誰も何も言えず、言葉にすることが出来ずにいる。
「……そうよ、私はそういう最低の人間なのよ。弟が苦しんでる横で、その様を笑って見てた。
自分の為に、弟を不幸なままでいさせて来た! 明るくて優しくて強い? そんなの私じゃない!
私はこんな最低な人間なの!!」
ずっと小十郎を気にかけてきたのは、可愛い弟だからってだけじゃない。
罪悪感があった。自分が立っているための支えにしてきたことへの罪悪感が。
だから全身全霊を持って小十郎を守ろうとも出来たし、誰よりも優しくあれた。
小十郎が自分を追い詰めてまで慕うほどの人間じゃないのよ、私は。
不意に誰かが背後から私を抱きしめてくる。驚いて見れば、それはずっと座り込んでいた小十郎だった。
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