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DOREAM BASEBALL 〜夢見る乙女の物語〜 
考え方の違い
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「あいつら……勝手に動きやがって……」

三塁側ベンチ方向へと歩いていく赤髪の青年は腸が煮えくり返りそうだった。その理由は先ほどの試合の進行によるもの。

「チェンジアップは頭になかったが投げていたのはスライダーが予測された地点。その他はストレートが投じられるのは事前にわかっていたはずだ」

彼は常成学園に自身が収集した情報から導き出した試合の展開を渡していた。その狙い通りに試合は進行していたはずだったのに、佐藤がマウンドに上がってからそれが崩れた。

「勝利への欲……これが人を狂わせるのか」

勝ち目のない戦いだと思っていたところでそのお宝が目前に見えたことで欲望と不満が勝ってしまった。見ず知らずの青年に指示を出され、指揮官がそれに従ってしまえば未熟な高校生にそれを受け入れられるわけがない。

「まぁいい。俺たちが勝てば済む話だ」

強力なライバル校を葬ってもらえば楽に勝ち抜けると思っていたがそれは不発に終わった。しかしそれでも彼は気にすることはない。

「もう少しだけ手を貸してやるよ。それまでは全力で駆け抜けろよ、ソフィア」

















一方一塁側のベンチ方向へと向かっていく真田。彼はこれまでのカミューニの言動から一つの答えを導き出していた。

「やっぱりこの試合を掻き回していたのはあいつか」

方法はわからなかったが何かしら彼が手を貸していたことで常成学園が東英学園を押していたことはわかった。しかし試合は既に東英学園の支配に落ちている。

「希も鎌倉もヒット……瞳は?」

笠井と鎌倉が大山に続いたことで1点を返しなおも二、三塁。打席に入る少女は二球目のスライダーを巻き込むように引っ張る。

「行ったな、これは」

打った瞬間にフェンスを越えるのが確信が持てるほどの打球。それはこの試合を引っくり返すことを意味していた。

「鈴川のホームスチール。佐藤のリリーフで流れを掴み取ったな、俊哉」

日本代表で指揮官とコーチを務める立場として彼らはよく話をする。しかしそれだけの関係ではないからこそ、真田は彼の考えがわからなかった。

「普通なら次の回から理沙を戻すんだろうが……このまま佐藤で突っ切りそうだよな」

エースに立ち直ってもらうためにもう一度マウンドに上げて試合を締めてもらう。その戦い方は定石ではあるが、町田はそれをやりそうな雰囲気はない。

「ま、最後があんな負け方したからな。勝ち上がるための最善手を打つのがあいつらしさだろう」

マウンドで泣き崩れるエース。フィールドにいる少年たちもベンチにいる選手も上級生、下級生問わず涙を流している中、背番号10の
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