暁 〜小説投稿サイト〜
竜のもうひとつの瞳
第八十四話
[1/4]

[8]前話 [1] 最後 [2]次話
 さて、ウイルス駆除班にと連れて来たメンバーは、小十郎、政宗様、幸村君、佐助の四人。
他の連中も一緒に来たいとは言ってたけど、中がどうなってんのか分からないし、
プロテクトをかけるのがかなりの手間だから、あまり多くない方が良いという松永の言葉もあってのことだ。

 一応、ウイルスと戦えるように、と私達の武器のデータを改変してくれたらしいんだけど……
基礎攻撃力とかそういうのが上がったわけじゃなさそう。
ダメージを与えられるようにしてくれた、って意味だと思うんだけどもね〜……。

 松永から貰った懐中時計を見る。これが長針も短針も十二を指したらプロテクトが終了するらしい。
今、時計は六時を指している。つまり六時間以内に勝負をつけなければ自然消滅することも有り得るってことだ。

 バグの中、ってこともあって中は関ヶ原をベースに、数字の羅列があったり色がおかしくなっていたりと完全にバグっている。

 「さて、あんまり時間もないから急ごう」

 「……何か納得出来ねぇが、仕方無ぇか」

 「あの御仁が何を言っていたのか、某には全く理解出来なかったでござる」

 「俺様もさっぱり……、分かってるのは小夜さんだけみたいだけどね」

 そりゃ、アンタらが理解しちゃったら大変な事になるでしょうが。
ここが仮想現実で、自分達は人によって作られたキャラクターで、なんてさ。

 「その話は後にしよう。分かるように説明すると、一年掛かっても理解して貰えないから」

 「何だよ、それじゃ俺らが理解力がねぇみたいじゃないか」

 誰もそうは言っていない。が、彼らには荒唐無稽な話に過ぎない。
……まぁ、あの松永の言うとおりであれば小十郎にも全く無関係ではない話になってしまったようだけど。

 演者になり得なくなってしまった小十郎は、どうなるのだろう。
私はこの世界がゲームの世界で、というのを知っている。だから松永が言っていることを理解することが出来る。
が、小十郎はこの世界の住人で、私と接触するうちに魂を持ってしまったというのだから、このゲームの外を知らない小十郎には理解出来ない話だと思う。
だけどもう決められた枠内で動けなくなってしまったのだから、小十郎の行動次第では、再びこんなバグを呼び起こしたりもするかもしれない。

 魂はデータじゃないから修正は不可能、ならどうなっちゃうんだろう。

 子供の頃のように小十郎と手を繋いでみる。かなり恥ずかしそうにして諌めてきたけれど、止める気にはなれなかった。
だってさ、私のせいで苦しむ要素を一つ作っちゃったって思ったら……ね。



 元は関ヶ原なんだけど道は一本道で、私達は道なりに移動していく。
一度後ろを振り返った佐助が驚いた声を上げていたけれど、

[8]前話 [1] 最後 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ