第八十四話
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達が歩いて来た道……いや、場所は背景も道も何もかもが消えていて、ただ真っ暗になっている。
後戻りは出来ない、そういう解釈で良いのかしら。
「前進あるのみ! ってことね。まぁ、キビキビ行きましょ♪」
「……よくこの状況で明るくいられるねぇ……」
佐助が半ば呆れたようにそんなことを言われたけどもさ、皆して暗くなっててもしょうがないじゃん。
平常心を持って挑まないとさぁ……ねぇ?
そんなことを話しながら進んでいると、急に開けた場所に出た。
視覚的には開けた場所なんか無かったんだけど、一歩踏み込んだ瞬間この光景だもん。皆流石に吃驚してたね。私も吃驚したけどさ。
「ここは魔王の空間だもん、何が起こっても不思議は無いわよ」
どうせバグだの何だのと言っても理解出来ないから、それで片付けている。
皆はこれが魔王の力によるものだと思っているわけだから、そう説明した方が早い。
不意に辺りが暗くなり、ブザー音が鳴り響く。
何かと思っていれば、スポットライトが前方に当てられ、関ヶ原ではなくいつの間にか舞台のようになっていた。
赤い幕がゆっくりと開かれていく。そして幕を開けて舞台に出てきたのは、幸村君だった。
「某は真田源次郎幸村、甲斐武田に仕える武将でござる!」
舞台の上の幸村君は、幸村君と同じ姿をしているけれど、バグっているのか身体の所々が変色していてそこから数字が見えたりしている。
幸村君の他に舞台に立っている演者達も皆そんな感じだ。
「御屋形様が上洛を果たすことを夢見、御屋形様の為にこの槍を振るい、
御屋形様の為にあることだけがこの幸村の存在理由でござった!」
壊れたオルゴールが奏でるような音楽と共に、くるくると舞台俳優のように動く幸村君はウザさが倍増している。
政宗様は身体のキレがいまいちだな、とか訳の分からないこと言ってるし、周りは唖然として見ている。
「そんな幸せな某にも、涙無くしては語れぬ過去がござる」
スポットライトが幸村君を離れ、一組の親子を映し出す。
赤ん坊が女の人の腕に抱かれて、穏やかに眠っている。そんな様子を女の人が幸せそうに微笑みながらじっと見つめていた。
「……義母上?」
幸村君の言葉に私は眉を顰める。そして、事情をお兄さんから聞いていた小十郎や政宗様も揃って眉を顰めていた。
「可愛い弁丸や、兄を支えられるくらいに大きく健やかに育つのですよ?」
女の人、いや幸村君のお母さんが言ったその名前は幸村君の幼名らしい。
「山手様、可愛らしい御子でございますね」
「源三郎様の時は難産でしたけれど、弁丸様は安産で……しかも本当に御元気で」
お母さんは侍女達の言葉に少しばかり悲し
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