第十六章〜闇の内部に飛び込んで〜
第八十三話
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「何しに来やがった、テメェ!!」
小十郎の凄みにも動じることもなく、いつも小ばかにしたような微笑を浮かべているのがデフォルトだったこのキャラにしては珍しく、
心底頭が痛いという顔をして部屋に入って来た。
「座りたまえ、竜の右目。私は今日は戦いに来たわけではない。無論、六の爪を奪いに来たわけでもないがね」
そんなことを言って、松永は堂々と私の前に座る。それでも猛る周囲に構うことなく、一つ溜息をついて見せた。
「……アレは関ヶ原の戦いを迎えさせ、徳川が天下を獲る方向で話を進めろ、と言わなかったかね」
松永が示す“アレ”というのは、どう考えてもあの人しかいない。
「……何でそんなこと知ってんの」
確かにあの自称神様にそう言われた。言われたからこそ、関ヶ原の戦いを起こしたわけじゃないですか。ねぇ?
「確かに乱入ステージはあった。が、このような展開は、ゲームの何処にも存在はしない。
それ以前にこの関ヶ原の戦いに入るまでの間に相当のイレギュラーが起こり過ぎている。
……卿が関わったせいで、世界全体に歪みが生じている……アレは、魔王などではなく“バグ”そのものなのだよ」
松永の言葉に、私は何も言えなかった。周りの連中も突然松永が言い出した言葉が理解出来ず、言葉を発することが出来ない。
「本当……何なの、アンタ」
今度は非常に分かりやすく溜息を吐き、心底呆れた顔をして口を開いた。
「卿は、オンラインゲームというものをやったことがあるかね。
オンラインゲームではルールの違反者が出ないように、GMというものを置くのだが、
私は謂わばこの世界のGMのようなものだ」
GMっすか、松永さん。っていうか、散々好き勝手にやるポジションにいて、GMと来ましたか。
こんなGMがいたら最悪っすよ。絶対に真っ当な管理して貰え無さそうだもん。
でもちょっと待てよ?
この世界をきちんとゲームの世界だって理解していて、かつあの自称神様のことを知ってるっていうと……もしかして……
「貴方、あの神様と同じようなものなの?」
「神、と称されるには些か限定的ではあるがね。……私は人の造り上げた世界の監視者だ。
アレの子飼い、とでも考えてくれれば差し支えは無い」
うへ〜……、この人ただの傍迷惑なおじさんなだけじゃ無かったのかぁ……。
ってか、そんな大それた役割があっただなんて、知らなかった……。
「念の為に言っておくが、松永久秀が本体ではない。あくまでこれは仮の姿に過ぎない」
あ、要するに中の人がいるってことね。松永は操作するキャラクターって考えればいいと。
いや、それはともかくとしてだ。
「っていうことは、私
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