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星河の覇皇
第八十部第五章 秘密兵器その十六

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「だからだ」
「ハルーク大将の決断も」
「止むを得ない」
 弟にもこう答えた、答えるしかなかった。
「この度はな」
「では」
「移動要塞の放棄を認める」
 ハルークは苦々しい顔でこの決断を下した。
「そうする、そしてだ」
「そしてとだ」
「移動要塞なくしてはだ」
 その援護と修理設備なくしてというのだ。
「我々はこれ以上の戦闘は無理だ」
「ならですね」
「ここはだ」
「全軍ですか」
「これ以上戦闘してもだ」
 例えそれを行ってもというのだ。
「損害を増やしてだ」
「そのうえで、ですね」
「戦線も崩壊させてだ」
 そうなってしまってというのだ。
「我が軍は殲滅される」
「そこまでの打撃を受けますね」
「それでだ」
「ここはですね」
「全軍撤退だ」
「今のうちに、では」
 ここでアブーは目を光らせて述べた。
「全軍反転する時にです」
「その時にか」
「今前衛にいる艦艇のみですが」
 前線で戦っている艦艇はというのだ。
「反転するその瞬間に機雷を放ちましょう」
「機雷か」
「それを放ち」
「敵の足止めをするな」
「若し機雷が攻撃されるなら」
「それはそれでだな」
「盾になりますので」
 撤退する自軍のそれになるというのだ。
「ですから」
「ここは一度に退くか」
「要塞や防御システムの将兵達が逃げれば」
 その時はというのだ。
「それからです」
「我々もだな」
「はい、艦隊もです」
 その彼等もというのだ。
「退きましょう」
「それまでは何とかか」
「持ち堪えましょう、非常に辛いですが」
「戦えない者が安全な場所に逃れるまでな」
「そうしましょう、それでは」
 兄弟で話して決めた、そうしてだった。
 ティムール軍は移動要塞を放棄した、その後でだった。
 移動要塞そして防衛システムにいた将兵達が撤退に使用する脱出用の艦艇に乗り込んで戦場を一目散に離脱していくのを見てだった。
 アッディ―ンは強い声で告げた。
「いいか、ではだ」
「次は艦隊ですね」
「艦隊ですね」
「敵艦隊をあの艦艇でも攻撃する」
「そうされますね」
「敵戦力をだ」
 その彼等をというのだ。
「さらに叩く」
「徹底的にですね」
「これを機会に」
「そうされますね」
「そうだ、あの艦艇の力でな」
 それを使ってというのだ。
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