第八十二話
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えがあった。
その男の姿を見た瞬間、条件反射的に身体が震えてくる。私の隣にいた小十郎も怯えた顔して身体を震わせてるし。
「こ、小十郎……アレ、まさか……」
「ま、まさか……確かに、仕留めたはず……」
思わず小十郎と抱き合って身を震わせていると、政宗様が庇うように私達の前に立ち塞がった。
「ああ、やはり! そこにいるのは、私の可愛い側室達ではないですか!」
「やっぱりテメェか、変態!!」
声を揃えてそう言えば、恍惚と言った様子で身をくねくねと動かしている。
キモイ、本当にキモイ……何で小十郎ってばこんな奴仕留め損なったのよ。後できっちり説教してやる。
「テメェ、本能寺で燃えて死んだんじゃねぇのか!?」
果敢にも小十郎がそう言えば、にやりと気味の悪い笑い方をしながら答えてくれる。
この表情に小十郎が身体をより一層震わせていたのは言うまでも無い。
「ええ、危うく死に掛けましたが、お陰様でこうして生きています……。
貴方の剣は痛かった……そして、凄く熱かった! 今思い出しただけでもゾクゾクしますよ」
いかん、小十郎がこの変態に穢される。完全に竦んでる小十郎を守るようにして私も立ち塞がる。
小十郎の貞操は渡さないんだからね!! 夕ちゃんのものであって私のものじゃないけど、ここは代理で宣言してやる。
「魔王復活の儀式は整った……皆、ご苦労だったな。もう準備は済んだゆえ、帰るといい」
「本当に愚かな争いを、ありがとうございました。家康公。
貴方が茶番を仕掛けてくれたお陰で、今日という最高の日に舞台を整えることが出来ましたよ」
これには石田も家康さんも揃って眉間に皺を寄せて、初めて自分達が利用されたことを知ったようだった。
「どういうことだ、刑部!!」
「三成よ、主はよく働いてくれた。我の言葉を疑いもしなかったであろう? 本当に、三成は良い子よの」
「天海! お前もこれはどういうことだ! まさか、魔王復活を最初から企んで」
「そうですよ、愚かな竹千代さん。
第五天魔王を奪われたのは痛かったですが、こうして戦場に連れて来て下さってありがとうございます。
これで、完全に下準備は済みました」
不意に辺りが暗くなり、私達は一斉に空を見上げた。月が太陽をゆっくりと隠しており、完全に太陽を隠すまでもう間もなくといったところだ。
「皆既日食……?」
「不幸の星が降る……見やれ! あの星を!!」
日食で薄暗くなった空を、無数の流れ星が流れていく。
流星群の到来、そう言ってしまえばそれくらいだけど……日食で流星群だなんて、かなりの偶然よ?
いや、偶然というよりも故意に引き起こされたと思って差し支
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