第八十二話
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家康と交戦中のアニキが自分が話題に出ているのを聞いて、そんな風に言ってくる。
「アニキ、その戦いが終わったらさぁ〜、石田連れて世界を見に行ってきてよ。いい船持ってるでしょ?」
「あぁ!? んな話は後でゆっくり聞いてやる! 今は家康で手一杯なんだ!!」
「鶴姫ちゃんと新婚旅行で海外にでも行って来ればいいじゃん。そのついでに乗っけてやるってことでさ」
新婚旅行、その言葉に瞬時にアニキが真っ赤になる。家康さんもこの変化には堪えられないとばかりに笑いを耐えているし。
つか、握り締めてる拳が笑いで震えてるのをきちんと見てますよ?
「ばっ、て、テメェ! な、ななな何てこと言いやがんだ!!」
「海賊が身を引いてどうすんの! お宝が目の前に転がってるってのにさぁ……
アニキィ〜、そろそろ勝負決めないと、横から掻っ攫われるよ〜? 結構どうでもいい男にとか」
「なっ……そ、それは困る!!」
流石にこんなやり取りをしていて分からないほど鶴姫ちゃんも鈍感じゃあない。
アニキの気持ちを知って顔を真っ赤にしてるしさ。
これは、上手くいくかねぇ〜? ファーストキスは既に済ませてるし。
……あ、アニキは経験なさそうだけど鶴姫ちゃんはどうかなぁ〜?
もう耐えられないとばかりに家康さんが笑い出して、アニキが真っ赤になって家康さんを殴ってる。
この様子を見ていた連中も皆笑っていて、青春だねぇ、なんて佐助と慶次が声を揃えて言うからアニキは涙目だ。
「ほらほら、さっさとモノにしちゃいなよ。好きな女なんだからさぁ」
「うっ、うううう煩ぇ!!」
「それに……」
耳元で解毒薬を口移しで鶴姫ちゃんがアニキに飲ませた話をしてやれば、素っ頓狂な声を上げてその場にへたり込んでしまった。
無論顔は真っ赤なままで。
「アニキ、可愛いなぁ〜」
家康さんなんてもうその場で笑い転げてるし、他の連中も笑ってる。
もう戦っていう雰囲気じゃないし、アニキも力が抜けてこれ以上は戦えそうにない。
「う、煩ぇ……」
最後の抵抗と言わんばかりにこぼした言葉が結構な避けなかったけど……さて、戦はこんなところでいいかな。
後は、魔王復活を阻止しないと。
「ヒッヒッヒ……茶番よ茶番、面白き見世物よ」
気味の悪い声に私達は一斉に辺りを見回す。そして誰かが小高い崖の上を指差し、私達はその方向を見た。
全身に包帯を巻きつけた怪しい男。輿の上に乗って宙に浮かび、そして背後には赤ん坊の頭くらいの水晶がいくつも浮いている。
あれが大谷吉継、か。気味の悪い男だ。やっぱり妖術師って感じだし。
そしてその隣に立つ、長い白髪の顔を半分隠した男に酷く見覚
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