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竜のもうひとつの瞳
第八十一話
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私達を見ていた。

 「……この戦、故意に起こしたんでしょ。自分が天下人だって世に知らしめる為に」

 しばらく沈黙が流れた後、家康は声を上げて笑い始めた。
可笑しくて笑っている、そういうんじゃなくて、何だろう……笑うしかないって感じに笑ってる。

 「まさか小夜殿に暴かれるとはな……。
流石に魔王復活に関しては範疇外ではあったが、確かに戦が起こるように見越して動いた。
それは事実だ」

 控えて見ているホンダムは何も言わず、ただ家康の様子を見ている。

 「本多忠勝は何も言わなかったの? 側近だったんでしょ?」

 「止められたさ。けど、最終的には何も言わずに従ってくれた……ワシの思うとおりにしろとな」

 なるほどね。結局止め切れなかったわけだ。ホンダムは。

 「うちの小十郎は、政宗様が間違ったことをすれば刀を向けて止めに入る。
腹切る覚悟で諌めに入ったのも尋常じゃないくらいよ。私だって小十郎で修正が効かない時は、命懸けで止めに入るわ。
立花さんは主が間違った道に進んでいることを案じて、横っ面を叩いて道を正そうとした。
佐助だって幸村君が間違えれば指示に逆らう……はず?」

 「そこは自信持って言ってよ! 俺だって死ぬ覚悟で止めてるんだからさ!!」

 だって知らないもん、そっちの主従関係。いっつも覗かれてるってイメージしかないしさぁ。

 「主が道を外そうとしたら、止めるのが家臣の役目。
何でもやることに従って着いて行けばいいってわけじゃないの。
……戦国最強、これでいいの? こんな戦いを終えて主が天下獲って、素直に喜べる?」

 ホンダムは私の問いに何も答えない。音一つ発しない。けれど、確実に葛藤しているのは分かった。
表情も何も無いけれど、それでも揺らいでいるのは。

 「……小夜殿、ならばどうする。お前が天下を獲るか。ワシと三成、そしてお前の三つ巴で」

 「そんな面倒なこと嫌よ。天下なんか、きっちり治められる奴が治めればいい。
獲りたきゃ勝手に獲ればいい。けどね……悪い子にはお仕置きをしなきゃならない。これは、大人の務めよ」

 ゆっくりと村正を構えた私の身体から、青い雷が纏わりつくようにして現れる。
重力の力を操っていた私に雷の力があるだなんて、と皆が揃って驚いた顔をしている。

 婆娑羅の力は一人に一つ、二つ力があるだなんて前例が無い。

 「……小十郎の力、借りるわよ」

 構える私を石田が見て、石田もまた迷ったまま構えを取った。

 「ちょっと待ったぁ!!」

 割って入って来たのは毒で伸びていたアニキだ。
どうやら解毒剤が効いて具合が良くなったみたいで、この決戦の場に飛び込んで来たわけだ。

 「おい、小夜! 家康は俺に任せな
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