第八十話
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「犬千代様、信長様がこの世に蘇ろうとしております。
……この天下分け目の戦を信長様の復活の為の儀式に用い、地獄の蓋を開けようとするものがおります。
まつは、それを止めんが為に集まった方々に救われたのでございますれば」
こんなまつさんの言葉に、利家さんが厳しい顔をして槍を握り締めていた。
確か加賀の前田は織田とは繋がりがあったはずだ。
ひょっとしたら説得に失敗してしまうのではないか、そう思ったけれども利家さんの表情を見ている限りではそれも杞憂に終わりそうな気がする。
「そうか……信長公が……。某も、この戦にはいろいろと思うことがある。
まつが戻って来た以上、これ以上東軍に加担する必要も無い。
……信長公を今もお慕いしているが、再びこの世を戦乱に導こうというのならば止めねばなるまい」
先陣に立つ私を見て、利家さんは
「小夜殿、某も加えてもらえるか」
と言ってきた。私は勿論、と力強く答えて加賀を取り込むことに成功しました。
「ところでまつさん、人質に取られるなんて大変だったね」
「ええ! 今も思い出せば腹が立ちまする!! あの紳士を名乗る、いやらしい髭の男! 今度会ったら十倍返しで追い払いますれば!」
……紳士を名乗る、いやらしい髭の男?
どーにも思い当たる節があるなぁ〜……。
「……政宗様」
「Oh……皆まで言うな、そんな姑息な手を使う奴は一人しかいねぇ」
「知っているのか? 二人とも」
知っているも何も……。
「な、何故うめ殿がここにいるのかね!?」
その人の名前をなかなか覚えない割合甲高い男の声に、奥州の人間は揃って眉を顰めた。
奥州の隣国、羽州を統治する最上義光……政宗様の母方の伯父当たるこの人物、いちいちポーズがウザい。
まぁ、アレを見るたびに政宗様のウザい……もとい、カッコつけた、じゃなかったオーバーなポーズは
最上の血なんだな、って思うんだけど、そんなことは口が裂けても言えません。
きっと斬られる勢いで怒られるから。
「やっぱり裏で糸を引いてたのはアンタか、Gentleman!!」
「おや、久しぶりだね政宗君。随分とご立腹のようだが、どうしたのかね?」
……面倒な奴が出てきちゃったわねぇ……。まともに相手してると癪に障るし、ここは……
「……政宗様、お耳を拝借」
ぼそぼそと話している私達を最上も含めて訝しげに見てるけれど、次の瞬間政宗様の口元に浮かんだ笑みを見て、絶対にまともなものではないと誰もが気付いた。
「な、何だね、その凶悪な笑みは」
「悪いが、アンタの相手をしてる暇は無いんでね。アンタに送る言葉は……Go to Hellだ!!」
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