第四十九話 自分しかない人間その四
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「それでよ」
「お話してくれるの」
「ええ、人は傷付けない」
「それは絶対のことね」
「どんな人でも心があるから」
「それでよね」
「そもそも自分がされたらどう思うか」
愛はこうも言った。
「一体ね」
「やっぱり嫌よね」
「そう思うならね」
それならというのだ。
「本当によ」
「気をつけることね」
「そうよ」
咲に真面目な顔で話した。
「恋愛のこともね」
「相手のことを考えないと駄目ね」
「相手も人間でね」
そうしてというのだ。
「心がある」
「そうした相手だってことをよね」
「頭に入れてね」
「接しないと駄目ね」
「例え断わってもね」
「相手の気持ちを考えてすることね」
「自分だけじゃないから」
恋愛もまた然りというのだ、この世の人と人とのことはすべからく心を持っている存在同士でのことであるのだ。
「だからよ」
「相手のことも考えて」
「そしてね」
そのうえでというのだ。
「やっていかないとね」
「駄目で」
「傷付けないことよ、あと自分が当事者でなくても」
そうでない場合のことも話した。
「当事者の人達を傷付けないことよ」
「このお話の人周りからも随分言われたらしいけれど」
「それも駄目よ」
「自分が当事者でなくても言うことは」
「それも心の傷に攻撃することだから」
そうなることだからだというのだ。
「余計に傷付けるからね、それで傷口に何かされたら痛いでしょ」
「物凄くね」
「心もそうでそんなことされたら」
自分の心を痛め付けられると、というのだ。
「怨むでしょ」
「それも悪意があったらね」
「尚更ね、こうしたことって一生怨まれるわよ」
「一生ものなの」
「痛いだけにね、身体を傷付けられるより痛いのよ」
心を傷付けられることはというのだ。
「だからよ」
「相手も覚えていて」
「それでね」
「一生怨んでくるのね」
「言った方は軽い気持ちでもね」
からかったりする様なだ。
「相手は本気で怒って許さないわよ」
「謝っても?」
「物凄く痛いことしてきた相手が謝ってもそうそう許せないでしょ」
「身体のことでもね」
「心はもっと痛いから」
だからこそというのだ。
「もうね」
「一生怨んで許さないのね」
「そうなるからね」
それ故にというのだ。
「そうしたことはね」
「言わないことね」
「絶対にね、一生怨まれるなんて嫌でしょ」
「それもね」
まさにとだ、咲も答えた。それも顔を曇らせて。
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