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竜のもうひとつの瞳
第七十九話
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りと手を翳して崖目掛けて吹っ飛ばしてやりました。

 「ぐぼぁ!!」

 「げふぅ!!」

 二人とも、上げた声が汚いです。結構な身分なんだからさぁ、もうちょっと上品な悲鳴上げてよ。

 「二人とも? 雌雄を決する為に戦ってたんじゃないのかしら?」

 よろよろと身を起こして私を見ている二人は、完全に戸惑った顔をしている。
きっと私が何も言わなければ、何をするんだと抗議しようとしていたのかもしれない。
だが、流石にもう見逃してやるわけにはいかないのよねぇ……だって、こんなところでそんな戦いされたら伊達家の恥だし。
だから、きちんとここはお説教をしてあげないと。

 「こんな天下の大舞台で、一人の女を獲り合って戦そっちのけで戦ってるってのぁ……一体どういう了見だ!!」

 完全にキレた私の前に、二人は仲良く肩を並べて正座をして説教を受けている。
この光景には即興で作った連合軍も唖然としていて、小十郎も頭が痛いとばかりにこめかみを押さえていた。
本当ならばここで半日くらいかけてお説教をするところなんだけど、今回はあまり時間も無いので
説教をさっさと切り上げて、戦を止めるから付いて来いと二人に言う。

 「ちょっと待て! 戦を止めるって、何を考えてんだ!!」

 「そうでござる!! ここは天下分け目の戦場!! 簡単に戦を止めるなどと」

 「……そこで馬鹿げた戦いを繰り広げてたのは何処の誰だ。
そんなに地獄の扉の開き方が教えて欲しいのなら、教えてやる。覚悟は出来てるか」

 キレた私の恐ろしさは、はっきり言っちゃうと小十郎を軽く凌駕してます。
小十郎だって、私が発してる怒りのオーラに条件反射的に竦んでるしさ。

 「……す、すいません」

 二人は揃って謝って、全軍こちらに付くように指示をしてくれた。全く、世話焼かすんじゃないわよ。

 「……姉上、小十郎の台詞を乱用しないでいただきたい」

 「だって凄むにはアンタの台詞が一番効果的なんだもん」

 どっからそんな言葉が出てくるのか分からないけど、マジ切れした時には小十郎の言葉が一番ビビッてくれるわけだし。
今度メモしておいて、頭に入れておこう。政宗様とか説教する時には丁度いいかもしれないしさ。

 とりあえず全軍が戦いを止めてこちらに付いたところで、佐助が私の前に頭を掻きながら現れる。

 「……大将の指示だから味方するけどさ。こっちの総大将は、小夜さんってことでいいのかな?」

 「え、そうなの?」

 佐助の問いに辺りを見回せば、ほぼ全員にここまで仕切ってて何を言ってるんだ、という顔をされてしまった。
つか、総大将のつもりは全然無かったんだけど。

 ってことは、佐助に指示出せる権限が私にもあるってことか
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