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DOREAM BASEBALL 〜夢見る乙女の物語〜
奇策
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莉愛side
「四回まで試合終わりました」
アップをしているとスタンドから降りてきた光吏が莉子さんにそう声をかけていた。身体を温めるために走っていた私と瑞姫も気になってしまい近くに寄る。
「どんな感じ?」
「4対0のままです」
「そうか……わかった」
どうやらあの後も試合に特段変化は起きていないらしい。それを聞いて莉子さんたち上級生たちは眉間にシワを寄せている。
「やっぱり東英が来てくれないとちょっと……ねぇ?」
「もうリベンジできる機会もないしね」
三年生たちにとっては春のリベンジができるのはこの大会だけ。その肝心の相手が敗退してしまうと多少なりともチームの士気に関わってくる。
「相手のことを心配してる場合じゃないよ。私たちが負けたらそこで全部終わるんだからね」
そうは言うものの、キャプテンである陽香さんが不在だからか莉子さんもどこか気負っているように見える。それがどう試合に影響を与えるのか、それが気になってしまった。
第三者side
「ノート通りじゃなくなってませんか?」
守備に向かう常成学園。そのベンチでは指揮官に対し部長である女性がそんな問いかけをしていた。
「あのピッチャーになった途端、彼の読み通りじゃなくなっているな」
「じゃあどうするんですか?」
心配そうにしている部長に対し老人は小さく笑ってみせる。それを見て不思議そうな顔をしている彼女に対し、彼はゆっくりと話し始めた。
「あの青年の予想が外れ出した以上、我々のいつも通りの攻め方をさせてもらおう。それで点が取れれば決勝に向けて自信が付く」
決してネガティブに考えることをしない指揮官に部長は笑顔を見せる。それでも彼はまだ浮かない顔をしていた。
(さてさて……そろそろ点が取りたいねぇ)
打席に入る鈴川。春までは3番を打っていたがこの大会からは5番へと打順を落としている。
(と思っているならやりやすいんだけどなぁ)
ベンチから試合の展開を見守る町田。彼は相手の入り方をまずは見極める。
「ストライク!!」
(外角低めへのスライダー。こりゃあ愛が調子を崩して5番になってると思ってるな)
それを見て彼は勝利を確信した。なぜなら彼女がこの打順に入っているのには別の理由があるのだから。
(次は萌乃だからなぁ……連打はまず無理。可能なら甘い球を長打にしたいけど……)
リリーフの佐藤が6番に入ってしまっているため多少打力が落ちてしまう。そのことをわかっているからこそ彼女はより自身のやるべきことがわかっていた。
「ボール」
(また外。決め球は内角かな)
右投手対左打者。内角に切り
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