第二章
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介護を受けることになった、スタッフは誰も親切で優しく景子を助けてくれた。その中で特にだった。
梨沙江は優しく穏やかに景子を助けてくれた、碌に動けなくなっている彼女の世話を細かいところまでしてくれた。
その中で景子は車椅子から離れてリハビリも行う様になった、梨沙江はその時も彼女を一番助けてくれたが。
ある日景子は梨沙江に尋ねた。
「私のこと覚えているわよね」
「はい」
梨沙江は景子に確かな声で答えた。
「先輩のことは」
「私が貴女にどれだけ辛くきつくあたったか」
「先輩は誰にもでしたが」
「貴女には特にね、それでもどうして私にここまでしてくれるの?」
梨沙江の顔を見て問うた。
「今の私は動けなくて何も出来ないのに」
「若し隠れて何かすればですね」
「私に気付かれない様に仕返しも出来るでしょ」
「そんなことはしないです」
梨沙江はきっぱりと否定した。
「何があっても」
「私は貴女にきつかったのに」
「動けない人にそんなことはしないです」
梨沙江はこれまたきっぱりと否定した。
「私は」
「絶対になの」
「はい、それに過去はどうあっても」
梨沙江はさらに言った。
「人に仕返しはしないです」
「貴女はそうした考えなのね」
「はい、ですから」
「私にも何もしないの」
「まして今先輩は困ってますよね」
「この通りだからね」
動けないその身体、リハビリの中でもまだそう言っていい状況の中で話した。
「正直に言うとね」
「そうですね、そんな人を助けるのが介護の仕事で」
「貴女なのね」
「そうありたいですから」
「そうなの・・・・・・わかったわ」
景子は俯いた、そうして梨沙江に言った。
「貴女のことが」
「私のことがですか」
「自分のことも。過去はもう戻らないけれど」
それでもとだ、顔を起こして梨沙江のその顔を見て彼女に話した。
「もうあんなことはしないわ」
「そうですか」
「ええ、二度とね」
こう言ってだった。
景子はリハビリを続け動ける様になってだった。
施設を後にした、そうして仕事に復帰したが。
「辻さん変わったわね」
「そうよね、凄く優しくなったわ」
「身体壊す前はあんなに厳しくてきつかったのに」
「今ではとても穏やかで優しくて」
「まるで別人よ」
「そうよね」
周りは復帰した彼女を見て話した、実際にだった。
景子は優しくなった、もう誰に厳しくしたり言うことはなかった。そして。
身体を壊して動けなくなったりした人達の為のボランティアも行う様になった、そこで彼女はよく言った。
「人は優しさを持たないと駄目よね」
「辻さんみたいにですね」
「優しくないと駄目ですよね」
「そう言ってくれたら嬉しいわ」
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