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竜のもうひとつの瞳
第十五章〜決戦! 関ヶ原の戦い〜
第七十七話
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魔王復活の生贄にして、地獄の底から魔王を呼び出そうとしてるんだよ!
じっちゃんは良いのかい!? そんな目的の為にここで命を張っても!!」

 慶次の言葉に鬼島津が眉を顰めて、剣を地面に突き刺した。
どうやら戦う意思はもう無いようだ。鬼島津から闘気が消えている。
油断を誘って攻撃しようなんてことはしないだろうから、これ以上戦うことは意味がないと気付いてくれたと信じたいところだ。

 「西軍の中にもそげな噂が流れちょったが……魔王を蘇らせる目的は何ね」

 「この世に不幸を齎す……それが目的だって聞いたわ」

 「不幸を……」

 鬼島津が攻撃を止めたその隣でも、立花さんが攻撃を止めて何かを考えているようだった。
どうも向こうも説得が上手くいっているみたい。

 「オイは、若きが作る新しか世を見たいと思っちょる。
こん戦は、その為の戦だと思っちょった……が、不幸を齎すための戦なら、オイが手を貸すわけにはいかん」

 地面から剣を引き抜いて、鬼島津はそれを肩に担いだ。
御歳の割に力が強い、そんな風に思ったけどそこら辺は黙っておきました。

 「それに、おまはんの言う通りね。迷っちょる若きを教え導くのも、古きの仕事ね。
オイの出番は終わりかと思っちょったが……まだ、最後に一つ大仕事が残っとったことを忘れとったとね」

 にっ、と笑って頷いた鬼島津は、私達の説得に応じてくれたと考えても良さそうだ。
小十郎達が説得に当たっている立花さんも攻撃の意思はなさそうだし、仲間に加わってくれそうだし。

 私は鬼島津の下を離れて立花さんに近づいていく。
この人も漲っていた闘気は消え失せていて、穏やかな笑みを浮かべているから何だか私も安心してしまった。

 「立花さんが付いて来てくれるのは心強いですね」

 「そう言っていただけると有難いですが……ところで、片倉殿の言われていた“小十郎殿”というのは、この御仁でございましたか」

 「うん。そうだけど」

 小十郎をじっと見た立花さんは、私に向かって穏やかに笑う。
こんな様子を見ていた小十郎は一体何なんだと少しばかり眉を顰めていた。

 「……良き、弟殿でございますな。我が君の側にも、このような方がおれば」

 ほほう、小十郎のことを評価してくれたんだ。それは嬉しい。嬉しいけど……

 「あー……正直お奨めしない。小十郎に育てられた政宗様を見てる限りじゃ、どう転んでもまともにはならないと思うけど」

 立花さんは西軍だから政宗様のことを見ていないと思うけどもさ、その主があんなになったら立花さん禿げるよ。
多分ストレスか何かで。どう見たって立花さんじゃ御しきれないと思うもん。政宗様みたいになっちゃったら。

 「……姉上、それはどういう意
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