間桐慎二の取引
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槍が二本無いという事は、フィン・マックールかクー・フーリンか。
セイバーが誰か分からぬ今、戦うにはきつい相手だな」
地下工房で会っていたなら、最初から魔術師として思考していただろう。
切り替わったとはいえ、ここは書斎であり名士としての振る舞いはまだ間桐臓硯は崩していない。
いつものように間桐臓硯は価値のない者として間桐慎二を舐め切っていた。
だからこそ、間桐慎二の、お膳立てをした神奈絵梨の策にハマる。
「あ。御三家の遠坂凛ですが、多分このままじゃ参加しませんよ。
うち以上に目つけられていますから」
「え?」
間桐臓硯の声はこの場では出ないような場違いな間抜けな声だった。
御三家の遠坂が聖杯戦争に出ないという言葉が理解できず、間桐慎二の声には明らかな嘲笑があるのに気づけない。
「あいつ今どこにいるか知っていますか?
冬木の警察署ですよ。
殺人未遂及び行方不明事件の参考人として。
これで参加するって事は、遠坂は冬木に住めなくなるだけなら御の字、聖杯戦争に勝っても殺人者として裁かれかれません。
僕たち間桐もですけど」
「協会は何をしておるのだ!
こういう時の為……」
間桐臓硯の怒りの声は、間桐慎二が差し出したアトラム・ガリアスタのプライベートジェット機を米軍が撃墜した報告書によって沈黙させられる事になった。
なお、この撃墜がはぐれサーヴァントを生んだ事に間桐臓硯は気づけない。
「お爺様。
協会のロードたちは怒り心頭の米国を宥める事ができるのですか?
この国の政府は米軍の介入に打つ手がないとはっきりとおっしゃいましたよ」
「で、でき……」
妄執に捕らわれても、いや妄執に捕らわれたからこそ、魔術の衰退と科学の発展を見続けていた彼だからこそ、それを否定できない。
第一次・第二次世界大戦。冷戦。湾岸戦争。9.11。そして中東某国。
米国の怒りと物量を押し返せる『魔法』を彼は用意できない。
「アインツベルンが、アインツベルンが来るだろう!
奴らなら……」
「だから、そのアインツベルンがライバルである我々を助けるのですか?」
間桐慎二の無慈悲な一言に間桐臓硯は押し黙る。
狡猾で残忍であるからこそ、現状の盤面で間桐が詰んでいる事を悟らざるを得ない。
初動で捕まえられる上に、彼はその体の維持の為に魂食いを行っていた。
捕まって、詰められて、ばれたらすべてが終わる。
聖杯戦争というゲーム盤に上がらなければ逃げられる可能性はあるが、この番外戦術を他の陣営が駆使しかねない以上、ゲームに参加する事自体が詰みになっていた。
「間桐はこの聖杯戦争に能動的に参加しない。
そう報告しますよ。いいですね?」
『
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