第八十部第五章 秘密兵器その八
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「その攻撃はだ」
「敵に確実に大きなダメージを与えて」
「いきなりの一撃で」
「それで一瞬でも隙を作らせて」
「その隙をですね」
「さらに攻める」
その攻め方はというと。
「通常艦艇でもな」
「その一瞬の隙を衝いて」
「そうしますね」
「まさに」
「隙がだ」
一瞬のそれがというのだ。
「まさにだ」
「勝負を決する」
「そうしますね」
「文字通りに」
「だからこそですね」
「今から」
「その隙を作る」
こう言ってだった、アッディ―ンは今は時を待った。その時が来るのを。
だがアブーとフラームはそのことを知らない、それで方陣を必死に守りつつそうして移動要塞と連携してだった。
防御に徹していた、それでアブーはフラームに通信で話した。
「このままです」
「守っていけばな」
フラームもこう返した。
「戦いが終わるまで待てば」
「負けないですね」
「相手は強い」
アッディーン、彼が率いるオムダーマン軍だというのだ。
「だからだ」
「それで、ですね」
「我々では勝てない」
自身、そしてアブーの力量を見ての言葉だ。
「それならだ」
「負けないことですね」
「勝てないならだ」
それならというのだ。
「負けない」
「それを目指すべきで」
「それでだ」
「実際にですね」
「我々は守りに徹してだ」
方陣を固めて移動要塞と連携させてというのだ。
「そしてだ」
「そのうえで、ですね」
「守りに徹してだ」
「オムダーマン軍が攻撃を停止するまで」
「戦いが終わるまでだ」
まさにその時までというのだ。
「待つのだ」
「そうすればですね」
「いい、そして兄上が戻られてからな」
「攻勢に出ればいい」
「私もそれ位はわかる様になった」
フラームは元々宗教家であった、イスラムの学問には詳しくかつ政治にも長けているが軍事には素人だった。
だがそこからシャイターン兄である彼に言われて頷いてだ、そうしてそのうえで今から言うのだった。
「だからだ」
「ここはですね」
「守りに徹する」
負けない様にするというのだ。
「いいな」
「はい、それでは」
「このまま守る、絶対にだ」
「そうしてですね」
「万全に備えることだ」
今はと言ってだ、そしてだった。
アッディーンは今はだった、そのうえで。
彼等は今は守っていた、だがそれでもだった。
彼等そしてティムール軍の誰もが気付いていなかった、彼等の側面や後方、全く警戒していないそちらにだった。
オムダーマン軍は秘かに手を回していた、その彼等がだ。
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