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竜のもうひとつの瞳
第七十五話
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から。

 「雑賀衆の連中が何処に行ったのか知ってんのか? それにテメェは何でここにいるんだ」

 小十郎の問いかけに慶次が頭を押さえながら頷いた。

 「織田の残党が西軍の大谷さんや天海さんと繋がりがあるって聞いてさ、孫市が事情を聞いてくるって雑賀衆を連れて大阪城に行っちゃったんだよ。
俺もついて行こうとしたんだけど、ここで留守番を任されてさ。……で、留守番してたんだけど、昨日の夜頃になって何者かに頭を殴られて……」

 そのまま気を失ってしまった、ってわけか。
とりあえず侵入者が現れたってのは間違い無さそうだね。今の話を聞く限りじゃ。

 「ねぇ、起きたばっかりのところ申し訳ないんだけど、何か盗まれたりしてない?」

 いくら何でも慶次をただ殴りに来たってことはないだろう。
慶次にとりあえず確認してもらうけど、盗まれたものはなさそうだという。
ただ、荒らされた形跡はあるとは言っていたけど。

 情報がどれほど引き出されたのかを探ろうとしていたのかしら。
それとも雑賀衆に探られた情報に余程漏れると困るものがあったのかしら。
実際どうなのかは良く分からないけど、ここに忍び込んで探るほどの何かがあったのは確かだろう。

 「ってことは、次に向かうのは大阪城か。慶次、ありがとう。ゆっくり休んでなよ」

 「ちょっと待ってよ。雑賀が手に入れた情報を知りたいんだろ?
別れる前までは情報を共有してるし、道すがら話すから俺も連れて行ってくれよ。いい加減皆が心配でさ」

 まぁ、慶次なら連れて行っても足手まといにはならないか。
おちゃらけているように見えて何気に強いしね、慶次は。

 慶次を連れて雑賀のアジトを抜けるまでに、いろいろと話を聞いた。

 織田に手を貸していた二人はやはり大谷と天海であり、この二人は度々密談をしていたとか。
大谷は毛利とも繋がって、西軍の人員を集めるべく手段を選ばずに行動しているらしい。
例えば、最近四国攻めがあったらしいんだけど、それも徳川の仕業に見せかけてアニキが西軍に下るように仕向けたらしいし、
あの鶴姫ちゃんも言葉巧みに騙して西軍に引き入れたらしい。
家康さんと敵対する姿勢を示していた幸村君はともかく、大体がそんな感じで西軍に引き入れているようで、
その事実を西軍の人間に知られないようにとかなり周到に立ち回っているのだとか。

 「……そいつは酷ぇな」

 流石に小十郎もそれには眉を顰めていて、気分が悪いとでも言いたげな表情をしていた。

 「でもさ、そうなると全ての黒幕は大谷ってことじゃない? 天海にしろ毛利にしろ、あくまで大谷の協力者って立ち位置よね?
……大谷が、石田の復讐心を利用して今回の戦を仕掛けた張本人ってこと?」

 「そういうこと
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