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木の葉詰め合わせ
本編番外編
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此処ではない他の世界で・肆
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ればと、その言葉だけが脳裏をぐるぐると巡る。

「そう気を逆立てるな。まるで敵わぬと知りつつも、精一杯威嚇して来る猫の様だぞ」
「――……黙れ」

 くつくつと喉を鳴らして、男が赤く染まった両眼を私へと向けて来る。
 以前垣間見たあの黒髪少年達の三つの巴紋の浮かんだ赤い瞳、ではない。初めて見る形の奇妙な文様が浮かぶその両目に、咄嗟に視線を逸らして背後へと距離を取る――それよりも先に。

 反応こそ出来たが、大人の男の力でそのまま捩じ伏せられ、掴まれた肩にぎりぎりと爪が食い込んだ。

「――――っひゅ、あぐっ!!」
「ただの写輪眼では貴様には効きそうにないからな。なに、そう固くなるな」
「ふざけ、――〜〜っ!!」

 ごきゅり、と耳に残る厭な音が上がり、遅れて痛みが襲って来る。
 ――こ、の、野、郎っ!! 人の肩を脱臼させやがった、滅茶苦茶痛い〜〜っ!!
 
 はっ、はっ、と犬の様に荒く息を吐いて、必死に痛みを堪える。
 骨が折れるのは何度か経験した事があるが、肩の関節が脱臼するのがこんなにも痛いものだったなんて初めて知った――ちっとも嬉しくない経験だけど。
 ただでさえ痛いというのに、この誘拐犯の野郎、外れた肩に遠慮の欠片も無く力を込めやがった。悲鳴を上げる痛覚に触発され、抑え切れない涙がポロポロと零れ落ちては、その幾つかが頬を濡らした。

「安心しろ、直ぐに元の世界とやらに還してやるとも。――……オレの手伝いをしてもらってから、だがな」

 逸らしていた視線がそれはもうがっちりと合わさり、真正面からあの少し変わった写輪眼を眺めさせられる。
 揺らめく炎を映し込んだような赤い瞳が奇妙に明滅し、私の視界を真っ赤に染め、警鐘が脳裏で鳴り響くも抵抗できない。

 まっず、これって初めて会った時に喰らった、幻覚、攻撃……。

 失態に臍を噛みながらも、襲い来る目眩にも似た感覚に私は意識を手放す他無かった。

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