五十九 謀反
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残っていない心臓に焦燥したのか。
どちらにせよ、無謀な行いをしている角都を狂ったとゼツが称しても仕方がない。
なんせ、角都が狙う獲物は…─────。
「…俺の心臓を狙うか」
デイダラとサソリの心臓を奪い、そのままの勢いで襲い掛かってくる相手を、涼しげな顔で見上げる。
角都の殺気を柳に風と受け流し、静かに佇む存在に、木に潜んでいるゼツのほうが気圧された。
影分身ではない。
迫りくる角都に向かって、彼は余裕の笑みを口許に湛えた。
親指で胸を指し示す。
「よーく狙え」
己の心臓をとんとん、と軽く親指で示してから、本物のナルトは双眸を細める。
黒ゼツと白ゼツの視線の先。
心臓を狙う角都にナルトはくつり、と口角を吊り上げた。
「ただし、」
ぶわり、とナルトの身体から溢れる殺気に、隠れ潜むゼツの意識が一瞬、遠のく。
殺気が風圧となって、荒野に吹き荒れた。
正気を失っているらしき角都の顔が、ナルトの殺気を正面から受けて、酷く引き攣る。
サソリとデイダラと同じ運命を辿るなど微塵も思っていないナルトはいっそ穏やかに微笑んだ。
しかしながらその微笑みは、ゼツの眼には慈悲深き死の宣告に見えた。
「決死の覚悟で挑まねば、俺の心臓は盗れんぞ」
木に潜むゼツの視線の先で、緩やかな殺戮が始まった。
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