第二部 1978年
ソ連の長い手
牙城 その2
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に答える
「シュトラハヴィッツ君、確かに核の操作権を握っているのは議長、国防相、参謀総長。
だが、二人の首を挿げ替えるのは容易ではあるまい……」
ソ連の核ミサイル発射手順は、議長と国防相と参謀総長の3人に最終決断の権限があった
万が一に備え、3人の内の2人揃えば、起動出来るシステム
議長が死亡しても参謀総長と国防相が健在なら、核の脅威は消える事は無かった
長老格の一人である、人民軍参謀総長が応じる
「同志議長、彼は根っからの職業軍人ですぞ。政治の世界では……」
シュトラハヴィッツと懇意な国防相が、笑みを浮かべながら答える
「アルフレートの提案は、一理ある。
冗談抜きで言えば、今の議長を失脚させた後……、英米が担ぐには丁度良い人物なのは間違いない」
男は紫煙を燻らせながら、彼等の顔を見回す
「神輿を担ぐにも、担ぎ手の体力も関係してくる。
軽い方が楽であることは間違いない」
「同志議長……」
シュトラハヴィッツ少将は戸惑った
果たして自分の提案と言う物が荒唐無稽でなかったのか……
周囲の混乱を余所に、男は答える
「国家保安省の連中を通じ、欺瞞情報を流させた。
駐独ソ連軍は、国家人民軍の側に着いたとな……。
仮に駐独ソ連軍司令官が無事でも、肝心の駐ドイツ大使館が吹っ飛ばされた。
当面の作戦指揮が混乱するのは、必至。
その割れ目をついて、こじ開ける方策に掛けてみることにした」
男は、一か八かの勝負に出た
まさか、この中に間者はいないであろうが……
万に一つの事を考え欺瞞作戦を行っていることを吹聴した
混乱は必須であろう
そうして居る内に背広姿の護衛が駆け寄ってきた
「同志議長、そろそろお時間です……」
懐中時計を取り出し、時間を見る
「シュトラハヴィッツ君、中々刺激的な提案であったよ」
周囲を駆け寄ってきた人民警察の警官が取り囲む
シュトラハヴィッツ少将とハイム少将は、その場で議長一行を見送る事にした
彼等の姿が見えなくなるまで、挙手の礼で応じた
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