第六十九話 先輩達と会ってもその二十二
[8]前話 [2]次話
「あんな立派でいい人はいないよ」
「そんなにいい人なんですか」
「うん、おおらかで穏やかで優しくて不平不満なんか一切言わない」
「僕はその人のお陰でお道に入れたんです」
新一君が言ってきました。
「初代さんで」
「そうだったの」
「子供はいないですが」
それでもというのです。
「うちの親父が息子みたいなもので」
「じゃあ新一君はお孫さんになるの」
「はい、理だと三代目ですね」
そうなるというのです。
「僕は」
「その人が初代で」
「そうです、僕はお祖母ちゃんが三人います」
「その人とご両親の」
「はい、母方のお祖母ちゃんとその大叔母さんの妹さんで」
「あれっ、父方の人は」
「完全に他人ですから」
むっとしたお顔での返事でした。
「知らないです」
「そこから先は聞かないからね」
「そうですか」
「さっきからずっと見てきたから」
新一君の嫌いな人に対する徹底さはです。
「というかやっぱりお家のいんねんあるのね」
「そうみたいですね」
「それも相当に。けれどそんなにその大叔母さんいい人なのね」
「今度機会があったら会って下さい」
新一君は晴れやかなお顔で言ってきました。
「是非」
「そうさせてもらうわね」
私も約束しました。
[8]前話 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ