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イベリス
第四十八話 東京という街その十二

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「絶対に信用したら駄目だ」
「そうなのね」
「避けるんだ、支持なんてな」
「したら駄目ね」
「絶対にな」
「騙されるのね」
「そうなる、カルト教団も同じなんだ」
 彼等もというのだ。
「自分しかないからな」
「平気で人を騙すのね」
「そうしてな」
 そのうえでというのだ。
「利用するんだ」
「そして役に立たなくなったら捨てるのね」
「やっぱり平気でな」
「だからカルト教団も信じたら駄目なのね」
「絶対にな」
「そういうことなのね」
 咲はわかった顔になって頷いた。
「そうした組織は信じたら駄目なのね」
「そういうことだ」
「赤軍派とかもそうなのね」
「あれこそまさにだ」
「自分しかないのね」
「だから普通に総括とか言ってな」
 彼等がしたことからだ、父は話した。
「仲間でも殺していったんだ」
「自分しかないから」
「人の言うことを認めないでな」
「それで敵と思ってなのね」
「それこそ自分以外は敵に見えてな」 
 あさま山荘事件でそれが出た、この事件では愚か者達のしたことが明らかになり日本中が驚愕した。
「そうしていったんだ」
「酷いことね」
「咲はそんな中にいたくないな」
「絶対にね」 
 ここでまた即答で答えた。
「やっぱり」
「そうだな、だったらな」
「見極めることね」
「近寄ってはいけない人達をな」
「それでそうした人達は」 
 絶対に信用してはならない者達はというのだ。
「自分しかない」
「自分のことしか考えないな」
「そうした人達ね」
「そのことを覚えておくといいからな」
「わかったわ、よく覚えておくわ」
 咲も頷いた、そうした話もしながらだった。
 咲は今は両親と話しながら団欒の時も楽しんだ、楽しみながらそうして人生のことも学ぶのだった。


第四十八話   完


                    2022・1・23
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