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ジムでは立場逆転
第二章

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「身体を暖めてほぐして」
「そうしてからなの」
「しないと駄目です」
「体育の授業と同じじゃない」
「同じですよ、身体を動かすなら」
 それならとだ、愛野は真面目な顔で話した。黒とグレーのトレーニングウェア姿が実に様になっている。
「準備体操はしっかりです」
「しないと駄目なの」
「はい」
 彩夏に真面目な声で話した。
「そうです」
「そうなのね」
「そうですよ、というか」
 愛野は怪訝な顔で言った。
「スポーツは」
「体育の授業以外ではないわよ」
「そうなんですか」
「中学高校は陶芸部で大学は映画系のサークルで」
 そうした活動をしていてというのだ。
「運動はね」
「そうだったんですね」
「貴方とは違うのよ」
 元テニス選手の彼とはというのだ。
「だから知らなくて当然だよ」
「じゃあ今から気をつけて下さいね」
 愛野は彩夏にあらためて言った。
「運動の前はです」
「準備体操ね」
「出来ればストレッチも」
 その両方をというのだ。
「絶対に」
「そういうことをして」
「それからです」
「やるものなのね」
「はい、それで自分に合った運動を」
「自分に?」
「主任は健康診断の結果が悪かったですね」
 愛野は具体的に聞いてきた。
「そうですね」
「ええ、そうなの」
「具体的にどんな風ですか」
「それ聞くの?」
「いや、よかったらです」
 プライベートのことでもというのだ。
「お話してくれますか?」
「それじゃあ」
 彩夏は愛野に言われてそれで話した、愛野はそれで彩夏の状況を知って話した。
「じゃあこっちへ」
「どうすればいいかわかるの」
「はい、主任運動の経験ないですし」
 このことからも言うのだった。
「徐々にやっていくべきです」
「徐々になの?」
「一気に激しい運動をしたら身体を痛めます」
 愛野は真剣な顔で話した。
「ですから」
「徐々になの」
「そうです、水泳なんかいいですね」
「えっ、水泳って駄目よ」
 彩夏は水泳と聞いて顔を真っ赤にして言い返した。
「水着になるのに」
「お嫌ですか?」
「嫌よ、絶対に」
 その真っ赤な顔のまま答えた。
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