第一章
[2]次話
ジムでは立場逆転
八条ビールで勤務している愛野信清はかつてテニスの選手でウィンブルドンにも出場したが今は引退してだった。
スポンサーでもあったその企業で勤務していた、しかし。
上司で一つ上の深見彩夏一六〇程の背で蒲鉾型の大きな目とホームベース型の顔と黒い長い髪の毛と色気のあるスタイルの彼女にいつも仕事のことで怒られていた。
「ここはこうしなさい」
「そこはさっき言ったでしょ」
「だからそこはね」
兎角言われていた、彩夏はきつい性格で評判だったが。
「愛野君に一番厳しくない?」
「そうよね」
「同じ高校の先輩らしいけれど」
「それならもっと優しくしてあげたらいいのに」
「幾ら愛野君が途中入社でね」
「自分は大卒でも」
「先輩後輩でもあるから」
周りはこう言っていた、だが。
愛野は仕事に励んでいた、そして毎日仕事が終わると会社のジム八条ビールのグループ企業が経営しているだった。
そこのジムに通って汗を流して入浴もして清潔にしていたが。
ある日彼はジムでだった。
黒のタイツとピンクの半ズボンとシャツ姿で長い髪の毛を後ろで団子にしている彩夏に会った、すると。
彩夏の方がだ、驚いて言ってきた。
「な、何で愛野君がここに!?」
「だって僕元テニス選手で」
愛野は彩夏にこのことから話した。
「今も身体動かすのが好きで」
「それでなの」
「はい、仕事が終わったら」
「ジムで汗流してるの」
「それが日課ですから」
だからだというのだ。
「今もです」
「引退してるのに」
「そうしています」
「そうだったの」
「言ってませんでした?」
「そうだったかしら」
「そうです、ただ主任はどうしてここに」
「最近運動不足で健康診断の結果よくなかったのよ」
彩夏は愛野に憮然として答えた。
「それで太ってもきたし」
「それでなんですか」
「ここうちの会社のグループ企業だし入会したら特典も多いから」
グループ企業の社員としてだ。
「それで近いし」
「だから入られたんですか」
「そう、だからね」
それでというのだ。
「今日からって思ってるけれど」
「そうなんですね」
「愛野君もいるのね」
「そうです」
「わかったわ、じゃあね」
彩夏は自分でするつもりだった、だが。
器具を使おうとすると愛野に言われた。
「準備体操しないと駄目ですよ」
「えっ、そうなの!?」
「身体動かす前は。準備体操してストレッチもして」
そうしてというのだ。
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