第三章
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「別に」
「そういう問題じゃないでしょ」
「心配し過ぎよ、あんたもお父さんもお母さんも」
「ずっと会っていないなら余計にそうなるわよ」
姉にむっとした声で返した、だが。
ここで店が忙しくなったので姉はまたねと明るく言ってだった。
彼女の方から電話を切った、忍はその後で両親に事情を話したが。
二人共だ、怒って言った。
「全く、変な表現を使って」
「他の方法で連絡しなさい」
こう言うのだった。
「あの娘ときたら」
「子供の頃からだな」
「そうよね」
「いい加減で紛らわしいことをする」
「そこは変わらないわね」
「全く仕方ない奴だ」
父は怒る中でこうも言った。
「若し帰ってきたら一度怒らないとな」
「そうしたところをね」
「それに帰って来ない」
「そのこともね」
「楽しく働いているのはいいが」
「しかも働いているところが好きならね」
こうしたところはいいと言うのだった。
「しかしな」
「それでもね」
「そうしたところは怒らないとな」
「全く何時まで経っても子供だから」
こう夫婦で言っていた、そしてだった。
忍から美穂のスマートフォンとパソコンの修理が終わったことを聞くとすぐに実家に帰る様にメールを送ってだった。
それを待てず怒りの言葉も送った、だが。
「大丈夫よ、ハウステンボス平和だから」
「そういう問題じゃないだろ」
「いい加減で紛らわしい行いはあらためなさい」
「いいじゃない、別に」
「いい筈ないだろう」
「全くあんたって娘は」
両親は親で怒るがだった。
美穂の調子は変わらない、それで妹にスマートフォンで言うのだった。
「お父さんもお母さんも心配し過ぎよね、便りがないっていうのは元気な証拠でしょ」
「それ違うから」
妹は姉に憮然とした声で応えた。
「お姉ちゃん本当に今回紛らわしかったよ」
「夢の国ってハウステンボスに決まってるじゃない」
「普通はそうは思わないから。まして急に連絡取れなくなったし」
「どっちも急に調子悪くなったから仕方ないでしょ」
「それも言わないと」
「全く。あんたも心配性ね」
「お姉ちゃんがいい加減なのよ」
妹もこう言った。
「本当にね」
「そう?」
「そうよ、そこは何とかした方がいいわよ」
こう姉に言った、だが姉はそんな言葉は耳から耳に抜けていってだった。
次の日に忘れていた、そして結婚してからだった。
夫にもそう言って連絡をしないで怒られた、ここでやっとわかって以後紛らわしい表現は使わずしっかりと連絡をする様になった。
夢の国から 完
2022・4・20
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