第119話『3つの戦場』
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緋翼の説明に驚いて、危うく受け取ったカードを落としかける。
このカード1枚だけで数万円くらいの値があるとでもいうのか。治癒魔術って凄い。そして、それを作れる櫻井先輩って一体……。
「つべこべ言ってねぇで早く取り掛かるぞ! 使い方はカードを患部にかざして魔力を込めるだけだ! 能力が扱えるなら誰でもできる! でも体内に銃弾が入ったらマズいから、あった時はどうにかして取れ! 後は流れ弾に注意! 1人でも多く生かせ! いいな!」
「は、はい!」
追及を嫌った終夜がまくし立て、作戦会議が打ち切られる。気にはなるが、戦況は一刻を争う。すぐに取り掛からなければ。
「うぅ……」
「だ、大丈夫ですよ! 今治癒しますから!」
晴登は早速、近くに倒れていた人に近づいた。銃傷が痛々しいが、まだ息はある。
声をかけながら、終夜に言われた通りにカードを傷口にかざして魔力を込める。すると、みるみるうちに血が止まって傷口が塞がっていった。
「凄い、本当に傷口が塞がった! でも、結構疲れるな……」
半信半疑だっただけに、実際に治療が成功したのを見て晴登は興奮する。しかし、その代償としてそれなりに魔力を消費したようで、一気に倦怠感が襲いかかった。
──GWで合宿を行なった時に、晴登のことを終夜が治療したと言っていたが、あの時の謎が今になって解けた。本当に、終夜には感謝しなければ。
「……キツくてもやるんだ。俺だってこれくらいは役に立つんだから!」
頬を叩いて気合いを入れ、晴登はすぐさま次の怪我人の元へと向かう。
──その時、ちらりと視界の端に映った光景に目を疑った。
*
「はぁ……はぁ……」
「うん? 疲れてきたか? まぁ全身変化をこれだけ使ってるんだから当然か」
"龍化"のタイムリミットが訪れてしまい、影丸は"龍化"を解く。結局、全ての技を避けられてしまい、まともにダメージを与えることさえできなかった。
「まさかここまで追い込まれちまうとはな。これじゃアーサーに顔向けできねぇ」
「随分と彼を慕っているんだな」
「あいつには世話になってるからな。この辺で借りを返しとかねぇと」
「美しい友情だな。だが──続きはあの世でやってくれ!」
"龍化"を解いた影丸には、雨男の攻撃は致命傷となるだろう。少しでも体力を回復するべく駄弁りで時間を稼ごうとするも、彼は5秒と待ってくれなかった。
「──なーんてな」
「!!」
「ようやく捕まえたぜ。雨男」
だが、その5秒さえ気をそらせれば十分。こちらに向かってきていた雨男の足がピタリと止まった。
「"影縫い"。
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