第119話『3つの戦場』
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べてそう申し出る建宮。護衛には力不足な晴登にとって、それは願ってもない話だった。彼ならば、護衛の任務を必ずややり遂げてくれるだろう。
「あなたの恋人のことは、この命に替えても守ると誓いましょう」
「ありがとうございます……って、え? どうしてそれを!?」
「見てればわかりますよ」
そう言って、ふふふと微笑む建宮。隠しているつもりはないが、いざこうしてバレると少し照れくさい。……バレた以上、もう恥ずかしがることはないな。
「結月のこと、お願いします!」
「任されました」
結月のことを建宮に託し、晴登はとりあえず終夜の元へと向かう。状況の報告と、次の指示を受けるために。
「部長!」
「三浦? ……なるほど。【日城中魔術部】集合! 作戦会議だ!」
遠距離から黒雷を放って迎撃していた終夜の元に、晴登は駆け寄る。すると彼は一瞬驚いた表情を見せたが、結月の方を一瞥してすぐに状況を理解したらしく、結月以外の魔術部を招集する。
「ちょっと、あんまり余裕ないのよ? 何話す気?」
終夜の呼び声を聞き、終夜の近くにいた伸太郎と前線から離脱した緋翼がこちらに来る。
彼女の言う通り、争う前から魔術師が多く倒されているため、戦線的にはあまり余裕がない。中学生の緋翼が離れるだけで前衛の負担が増してしまうぐらいには。
「もう一度ポジションを見直す。まず俺と辻は引き続き迎撃だ」
「わかったわ」
「三浦と暁には怪我した人たちの治療をしてもらう」
「えっと、わかりましたけど……俺治癒魔術なんて使えませんよ?」
納得の采配だが、そこには致命的な欠陥がある。晴登と伸太郎には治癒魔術が使えないということだ。専門知識のない2人に、治癒魔術なしでの治療もできる訳がない。
「そこは心配するな。この魔法陣が刻まれたカードを使え。これで治癒魔術を発動できる」
そう言って、終夜は懐から数十枚ほどで束になったカードを取り出した。大きさはトランプくらいで、両面に何かの魔法陣が刻まれている。
「ちょ……あんたこれ何枚持ってんの?!」
「いざって時のために、櫻井先輩に頼んでできるだけ作ってもらってたんだ。いっぱいあっても困りはしないからな」
「あんたねぇ……」
「何かマズいんですか?」
どうやらカードの枚数を見てか、緋翼が声を荒らげた。確かに量は多いと思うが、そんなにおかしなことなのだろうか。疑問に思って、緋翼に問いかける。
「治癒魔術自体、使い手がそう多くないから、治癒魔術のカードは凄く高価で取引されるのよ。それをこんなにいっぱい持ってたら、懐に宝くじの大当たりを忍ばせてるようなものよ」
「うわ……」
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