第119話『3つの戦場』
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何の役にも立てなかったことが心残りだが、せめて結月に弾丸が届かないで欲しいな……。
──。
────。
──────。
──おかしい。
いつまで経っても、来るはずの痛みと熱が来ない。
あ、もしかして即死したとか?
痛みを感じる間もなく死ぬって、こんなあっさりしたものだったのか。何だか拍子抜けだ。
もしかして、今目を開いたら三途の川とかお花畑だったりするのかな?
それはちょっと気になるかも──
「……え?」
目を開いた晴登は、ここが三途の川でもお花畑でもなく、目を瞑る前と何も変わっていない場所だと気づいた。銃撃音や爆発音が至るところで鳴り、再びけたたましい雨音が耳の中に響く。
ただ違うことを挙げるとすれば、晴登の前に黄金に輝く壁のようなものがあって、その足元に銃弾が転がっていた点だろうか。
「──間に合ったようですね」
「あ、あなたは……!」
背後から、聞いたことのある声と共にとある人物が現れる。それは2回戦の時に晴登と結月が戦った相手、【タイタン】の建宮だった。相変わらず、見上げるほどに背が高い。
「これは……バリア?」
「はい。私の能力、"守護"の力です。大抵の攻撃ならば全てバリアで防ぐことができます」
「た、助かった……」
九死に一生を得るとはまさにこのこと。助けばなければ今頃死んでいたと思うと、背筋が凍る想いだ。
「助けてくれて、ありがとうございました!」
「いいんだ。この少女が戦況を土台から支えていることは誰の目から見ても明らか。それならば、攻撃も防御も彼女に集中するのは当然です」
「確かに……」
メガネをクイッと上げながら、建宮が言った。彼の言う通り、結月がこの戦場の要なのだ。敵から狙われやすいのは必然。
「しかし注意していたとはいえ、君が技を放っていなければ気づかなかったでしょう。こちらこそ助かりました」
「ど、どういたしまして……?」
謎に感謝されてしまうが、ここで違和感に気づく。
建宮が予め狙撃に気づいて防いでくれたとすれば、晴登が死ぬという予知は矛盾しているのだ。単純に未来が変わったということもありえるが、建宮が言うことを踏まえると、"晴登が未来を変えた"ということになる。
──つまり、予知は変えられるということだ。
「これは新たな発見……」
「どうかしました?」
「い、いや何でもないです!」
「そうですか。……ここで1つ提案なのですが、私が彼女の護衛を務めましょうか?」
「え、いいんですか!?」
「もちろんです」
紳士的な笑みを浮か
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