第四十八話 東京という街その五
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「だからだ」
「お金は大事になのね」
「無駄遣いはしないでな」
「貯金しておくことね」
「そうするんだ、だからホストクラブにはまるとかな」
そうしたことはというのだ。
「絶対にだ」
「やったら駄目よね」
「それで親の遺産全部なくしたなんて馬鹿もいいところだ」
父は苦い顔で言った、そうしてだった。
ビールを飲んだ、するとここで今度は母が咲をじっと見てそのうえで真剣にこう言ってきたのだった。
「お父さんの言う通りなのよ」
「無駄遣いは駄目ね」
「そう、本当にお金ってね」
「急にいるのね」
「それでその後でね」
「どうしてもって時が来るのね」
「そう、そしてね」
それでというのだ。
「歌舞伎町はね」
「行ったら駄目ね」
「まだね、大学生でもよ」
「あそこは危ないのね」
「そう、もっと世の中のことを知って」
そうしてというのだ。
「人生を経験してね」
「それからなのね」
「行くことよ、その点愛ちゃんもわかってるわね」
「やっぱりお姉ちゃん頭いいのね」
「そうね、わかってる娘よ」
姪である彼女を認めて述べた。
「だからね、あんたお父さんとお母さんの言うことも聞いてね」
「お姉ちゃんの言うこともなのね」
「聞いてね」
そうしてというのだ。
「やっていってね」
「そうしていくといいのね」
「あの娘のちゃらちゃらしたのは外見だけだったのね」
母も遂にこのことをわかった、それも完全に。
「しっかりした娘ね」
「凄くね」
「歌舞伎町についてそう言ったことはね」
「いいことね」
「あそこは楽しい場所でも」
それでもというのだ。
「本当にちょっと入ったらね」
「とんでもないところなのね」
「日本一危ないところでもあるから」
「楽しい場所でも」
「そう、だからね」
「高校生の時は行ったら駄目ね」
「あんたの好きなカラオケボックスも沢山あるけれど」
それでもというのだ。
「カラオケは何処でもあるでしょ」
「東京のね」
「だったらよ」
「歌舞伎町に行かなくてもいいのね」
「そう、別の場所でね」
東京のというのだ。
「歌えばいいから」
「そうすればいいわね」
「新宿行かなくてもね」
「色々な場所があるのね」
「歌舞伎町にもね」
「じゃあそうするわね」
「そうしてね、危険な場所には行かない」
最初からというのだ。
「そうすることがね」
「一番よね」
「何といってもね」
「そういうことね」
「危うきに近寄らずよ」
何といってもというのだ。
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