第十一話:愛すべき家族に祝福を
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ら…このままネロを見捨てて逃亡するか?
(できるわけねえよな)
ラクサスは知っている。
弱者たちを背にして守り抜く祖父を。
その祖父から優しさをもらった。
ラクサスは知っている。
魔法によって起こる無限の可能性を。
綺麗事を口にする者もいる――が、強者であればその綺麗事を貫くことさえできる。
いつかの未来、そのことさえ一度は忘却の彼方に置き去る可能性を持つラクサスだが…同じように仲間に対して情が熱い人物である。
なれば――これから仲間に、競い合えるであろう友をこの少年は見捨てやしない。
「オレはまだ負けてねえぞ…セイラ」
恐怖はある。震えも止まらない。
「例えテメエがバケモンでも…''仲間''を見捨てるようなクズみてーな真似はしねえ」
それでも、言葉は力になる。
今の力を、思う増分に引き出してやる。限界を超えてさらに先へと
「死んでも倒れねェ…来やがれ!!」
「…その年で肝が太いとは。いいでしょう…ならば死になさい」
手を頭上の上に掲げるセイラ、その周囲に一瞬光が爆ぜてその場から大量の分厚い本が宙に浮いていた。
まるで意思が宿っているかのように飛行している本を前に目を点とするラクサスだが、笑みを浮かべて身体に魔力を底上げして雷を纏った。
「オレも…まだやれる…!!!」
そして臨戦態勢する二つの影に、もう一つの影が重なった。
所々も殴られた痣がありながら、ラクサスと同じくボロボロになったネロが立ち上がってラクサスの隣へと並んだ。
隣に並んだネロにラクサスは問う。同じく負傷者でありながらも目の前の女に対し覚悟を持った友に。
「…本当にやるのか?ネロ…おめえの姉貴だが…」
「家族が粗相したら注意する…当たり前のことだろ。それに」
震える手を拳で無理矢理抑え込み、目の前にいる家族にネロは迷いはない。
家族、それも兄弟姉妹であれば喧嘩の一つや二つもあるのが当然だろう。
しかしネロの思い出の中にはそれは一度もなかった。
いつまでも優しく、自身に想いを尊重してくれていた姉。
転生者として不気味な子供であったはずの自分にいつまでも愛場を注いだ姉。
その思い出は先ほどの謎の声の持ち主の発言で黒く染めかけるも、確かに姉は本物の家族だったとネロは再認識した。
『困りました…野菜って結構切りにくいのですね』
『あら、ボロボロになって…元気なのはいいことですけれど、あまり服を汚さないでくださいね…え?修行?お可愛いこと』
『ネロさまの好きな肉料理は…まずしっかりと串を差して…燃やす…燃やしすぎました…』
『いいですか、魔力操作にも流れというものがありましてね…ああそん
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