第十一話:愛すべき家族に祝福を
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その身で体験をした。
本来なら空中で殴られる威力で後ろへ下がる筈が、セイラが狙う一つ一つの箇所がネロのその場へ固定になるように打撃を与えていた。
例えば右で殴って移動するのならばすぐさま左へと殴ってその移動を阻止。
そのまま地面へ落下していく身体には下から殴り込んで地面へのキスを阻止。
打撃の衝撃で吹き飛ばされないように、ひたすらその打撃力を調整するような器用さ。
ボールを足でリフティングを、人間を拳でリフティング――されど威力と鳴り響く音はもはや重々しい程の打撃音。
まるで物理法則が通じない、されどそれはネロが求めるような超技術を今、姉のセイラが体現した。
(ああ――これ、負け――)
「さぁ、力を引き出してみせて―――!!」
「―――''雷竜の咆哮ォォ''!!!」
が、その行為を阻止するのは先刻セイラに殺されかけたラクサスである。
口から膨大な魔力を込めてネロに敗北を叩きつけた雷の奔流はセイラを飲み込み、木々へと吹き飛ばしていく。
(セイラのやつ…マジもんのバケモノじゃねえか…くそっ…)
「おい、ネロ!!大丈夫か!?」
セイラのまるで拷問すらも可愛く思えるような拳の数々をその身を浴びたネロに駆け寄ろうとうするラクサス。
だがその行為は正しくなかった。
「本当に…邪魔な子ですわね。 一度は命を見逃しましたが…らしくない行動をするものではないですね」
服にかかった誇りを叩き落とすような仕草をしながら歩み戻るセイラの姿にラクサスはゾッと背筋を震わせた。
今の魔法はラクサスが持つ魔法の中で一番の威力を誇る魔法――それを受けてもまるで効いた様子のない異形の女にラクサスは理解できないものを目のあたりにしていた。
「て…てめえ…効いてねえのか…!!」
「少し効きましたわ。ええ…まるで魔導四輪に強く轢かれたような痛みでした」
「どこがだよ…ピンピンしやがってヨ…自身無くすぜ…」
涼し気な顔で近づいてくるセイラに冷や汗を流すラクサス。
今始まっているこの戦いは、始めから勝ち目などなかったのだろう。
目の前の女に持っていた最初の第一印象はその強さの秘訣と好奇心。
そして現在のセイラに対するラクサスの感情は――恐怖。
もはや目の前の女は自分たちとは実力の離れすぎた強者だ。
油断する隙もなければ慈悲を持つ持ち主ではないことを先ほどのネロとの攻防で明らかになっている。
なら、目の前の女から逃げるか?と脳裏にすぎるがラクサスは確信に近い程それが無理だと直感した。
ネロを抱えて逃げるにしても魔力によるブーストを重ねたとしてもこの女は常識外れな速度に追いかけてくるような、そんな幻覚さえ見えてしまう。
な
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