第十一話:愛すべき家族に祝福を
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女自身がよく理解している。
例え、少し癖が変わってたとしても。
例え、以前より攻撃が鋭くなったとしても。
例え、放たれる速度が上がっていたとしても。
「もっと手の内を魅せてください。 まだあるのでしょう?」
茜色の頭に手刀を振り下ろそうとするセイラに野生の勘によって感知したネロはすぐさま残像を残すようにその場から退いた。
しかしセイラはその残像に動揺した素振りもなく、あるところに目線を映してそこへステップする要領に足は地面を蹴った。
「くっ…!!」
「魔力の放出が大雑把で、それも魔力を気等と…それでは”力”は引き出せません」
セイラが迫ったその場所に姿を露わにするネロであったが、軽いステップで向かってくる姉に思わず上げそうになった悲鳴を堪えて自身に向けられる鋭い手刀を間一髪避けてセイラの顔面へと右フックするが、その拳に躊躇いもなく淡々と手を添えるような仕草で受け流し、女性らしい握り拳で背後へと裏拳を放った。
「――!!」
「どんな力も、意識によって変わります。そう…人は”意識”と”感情”、”技術”や”才能”等で限界以上の力を引き出すことは可能です。 そしてそれは――」
”サイヤ人にとって尚更です”。
セイラの背後に誰もいないはずだった――が、その背後には茜色の髪が揺らす少年、ネロの顔がセイラの拳が食い込んでいた。
そしてセイラの前にあったネロの姿が、残像は消えていった。
そう、ネロの拳が受け流された後すぐさま残像を残しセイラの背後で奇襲へと仕掛けようとしたが、それは失敗であった。
(最初の残像の速度が…フェイントだって気づいていたのかよ…!!)
「自分の扱う力を何と呼ぼうか結果があるのなら構いませんが…ないのなら意味がありません。ネロさま――貴方さまが強く思う力の根源、魔法の使い方をご理解を」
ネロがセイラの手刀を避けた時の残像は、セイラに油断を誘うための本気の速度より半分落として出した残像であった。
セイラが次の残像で油断を、隙を作るために行ったその残像すらもセイラにとっては無意味。
小細工に意味は成さないものであったことに気づくには遅かった。
「以前よりも速度が上がって結構。 しかし今の私とネロさまのレベル差にとっては、悲しい結果にですの…それも、力の認識が正しければよかったのですが」
”まず一撃”
「ぐっ!?」
”もう一撃”
「ッッ!!?」
”もう一撃――いえ、もう30回程ヒットですわ”
正拳、正拳、正拳…からの拳の入ったたった片手によるラッシュがネロに炸裂する。
セイラより小柄な少年は空中のままひらすら理不尽な拳の数々を
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