暁 〜小説投稿サイト〜
魔法絶唱シンフォギア・ウィザード 〜歌と魔法が起こす奇跡〜
魔法絶唱しないフォギアG編
とっておきの”呪い”
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加で注ぐ。

 そうして酒を飲み交わしながら、2人は過去の思い出話に花を咲かせた。それは酒の肴に出来るものがそれしかなかったのもあるが、何よりもそうする事で空白だった時間を埋めたかったからだ。

「でさ、そん時――」
「ハハッ! そうだったそうだった! そう言えば覚えてるか? あの時――」
「おぉ、覚えてる覚えてる! ありゃ傑作だったよなぁ――」
「なぁ〜」

 そうこうしている内に、時刻はとっぷり深夜を過ぎた。颯人が持ってきたワインのボトルはとっくの昔に空になりテーブルの上に転がっている。グラスの中も空になっているが、程々にアルコールの回った2人は酒が無くても会話に華を咲かせていた。

「――――あ、そう言えば渡したい物って?」

 思い出話も一段落し落ち着いてきた頃、奏はそもそも颯人の家に呼ばれた理由を思い出した。ここには颯人が何か渡したい物があるからと言われて来たのだ。酒盛りですっかり忘れるところだった。

 奏が思い出すと、頃合いと見たのか颯人は一瞬で酔いを醒ましたのか顔を引き締めグラスをテーブルの上に置いた。

「ん、そうだな。頃合いか……奏、右手貸してくれ」
「右手? ん……」

 言われてとりあえず右手を差し出すと、颯人はその手を優しく取り中指に嵌っているウィザードリングをそっと抜き取った。

「あ、ちょ……」

 何だかんだでちょっと愛着が湧いてきた指輪を問答無用で取られて一瞬抗議の声を上げる奏だったが、颯人は構わずウィザードリングを仕舞い代わりに懐から別の指輪を取り出した。シルバーで作られたシンプルな指輪だ。

 その指輪を見て一瞬目をパチクリとさせた奏だったが、指輪を持った颯人が奏の左手を取った瞬間それが何を意味しようとしているのかに気付いて頬を紅潮させた。

「え、ちょ! 颯人、それ――――!!」

「……フロンティアで、奏が俺の知らない奴について行ったって聞いた時…………すっげぇ嫌な気分になった」

 嬉しさと困惑で狼狽える奏の言葉には答えず、颯人は奏がグレムリンについて行った時の気持ちを吐露した。

 あの時、奏は洗脳され誑かされた。本意ではなく、颯人への想いを利用して連れていかれたと言うのがあの時の真実なのはウィズの言葉で理解している。理解はしているのだが、それでもあの時颯人が抱いた想いは間違いなく嫉妬と怒りだった。

 同時に独占欲も抱いた。奏は自分のだ、誰にも渡さない。身勝手で傲慢かもしれないが、奏が自分の知らない男について行ったことは許しがたい事実だった。

「だから、奏の心を俺に縛り付ける」

 そして奏を正気に戻した時決意した。もう絶対奏を離さないし、離れさせない。例え自分勝手でも傲慢でも、奏の心を自分に縛り付ける。

 普段飄々としてい
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