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魔法使い×あさき☆彡
第二十ニ章 そう思うなら、それでも構わない
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いと人間らしい情緒が育たないから、そんなに賢くも見えなかったとは思うけどね」
「うちの親友を侮辱するな! 適当な嘘で侮辱をするなんて最悪じゃ! 謝れ! 謝れ!」

 殴り掛からんばかりの勢いで、至垂へと詰め寄る治奈であるが、止めたのはアサキの言葉だった。

「治奈ちゃん、わたしのために怒ってくれてありがとう。でも、でもね……本当の、ことなんだ。……分かるんだよ、わたしは、もう」
「ほじゃけど……ほじゃけど、そ、それじゃ、アサキちゃんが……」

 動揺する、治奈の顔。
 友の心を救済出来ないという無力に対する、どうしようもない苛立ちか、悲しみか、その瞳は涙で潤んでいた。
 いまにもこぼれ落ちそうなほどに。

 アサキは、心配してくれる友へ力ない微笑を浮かべると、至垂へと向き直った。

「あの……さっき、わたしたちが戦わせられた、魔法使い(マギマイスター)は……」

 尋ねた。

 その質問を待っていたとばかり、至垂は嬉しそうな顔で答える。

「そぉだよ、歳の離れた、きみの妹たちだ」
「わたし、の……。歳の、離れたって」

 同じくらいの年齢に見えたが。

「きみは、自分で認識している通りの年齢だ。じーっくり育て上げたから。だけど、妹たちは即席だ。破壊力優先のパーツ配合をしているから、単純な戦闘力はきみより強かったはず。でも、魂の精錬がなされていなかったから、負けた。負けたからカス。きみの妹たちは、みんなカスだ。……いま戦っている、(おさ)()(ゆる)()にしても、よりカスなはずの単なる雑魚魔法使いたちに、もうそろそろ倒されそうだよ。こりゃホームラン級の酷いカスを作っちゃったかなあ」

 はははははあ、と自虐なのか、身をのけぞらせて至垂は、手のひらを顔に当てて嬉しそうに笑った。

「生命を、そんなふうにいって、自分で嫌になりませんか?」
「全然」
「……でも、妹たちなんかじゃ、ない。……わたしの、義理のお父さんとお母さんに、今度、子供が生まれるんだ。わたしも、家族でいてもいいっていわれた。……それが、そこが、わたしの……本当の家族。生まれてくる子が、本当の、弟か、妹だ」
「へーえ。でもねえ、心の拠り所を、詭弁でどう保とうにも、きみの生まれた家はここであり、きみはキマイラであり、さっきぶっ殺していたのが、きみの妹だからねえ事実」
「そがいないい方ないじゃろ!」

 治奈の怒声。
 あまりの現実感のなさに、一人置いてきぼりを食らっている感のある彼女だが、さすがの不快感に叫ばずにいられないようであった。

 その激怒は、一割一部一厘も通じなかったが。

「だってキマイラなんて道具だもん」
「ほじゃから!」
「目的持って作ったんだから道具でしょ! 違いますかあ?」

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