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魔法使い×あさき☆彡
第二十ニ章 そう思うなら、それでも構わない
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みを向けようとするのだが、そもそも柔らかな表情など作れるはずもなく、諦めてガチガチに強張った笑みを向けた。

「……アサキちゃん、こがいな男のいいよるデタラメなんか、真に受ける必要ないからの」

 自分の焦燥とアサキの動揺を静めようと、強張った顔で優しく言葉を発するのであるが、

「本当のこと、なんだよ。治奈ちゃん。……キマイラなんだ、わたしは」

 アサキは頭を抱えたまま、友人の言葉を突っぱねた。

「ほじゃけど、ほじゃけど……キマイラって、合成獣のことじゃろ? どこが? アサキちゃんは、人間じゃろ。どこから見ても、人間の女の子じゃろ」

 治奈は、必死に否定する。
 親友を救済するために、親友の言葉を。

 そしてグレースーツの偉丈夫、至垂徳柳は、その言葉を、その思いを、あざ笑い、否定する。

「キマイラ。これ即ち人造の臓器や骨格といった土台に……」
「嘘ばかりいうな! 人を追い込む嘘を、楽しそうに喋るな!」

 腹立たしげに、足を踏み鳴らす治奈であるが、それは()(だれ)の顔をますます嬉々としたものにさせるだけだった。

「その人造土台に、強靭な動物や、人間の、臓器、脳、骨格、血液、筋肉を合わせ、または食らい合わせて、細胞レベルで融合、再生成などをさせ作られた、新たな生物である。……と、これがキマイラだ。必要があって、人間の女の子の外観を持たせているわけだから、似るのは当然だよ」
「ほじゃから嘘ばかりいうな! そもそも令和の時代に、生命をどうこうするそこまでの科学技術なんかあるはずないじゃろ!」
「ないじゃろって……あっても表に出るはずないじゃろ? きみの脳味噌は、貰ってといわれても、いらないかなあ。間抜け過ぎるからなあ」

 ははっと笑うと、リヒト所帳は、何事もなかったように、また独り言に似た一方的な語りを続ける。

「極めつけはね、その、合成に使う人間の素材でね。そこがミソなわけだ。世を呪いつつ殺された人間。または、生きたままで腹を裂かれたり、頭を砕かれて、取り出された、臓器や、脳味噌。そんな、魂にして二千人くらいを、この作品(キマイラ)を作るために、たーーーーーっぷりと土台に吸収させてあるんだよねえ」
「さっきから適当……」
「いつの世にか究極の一体を作る、そのために、この数百年、魔道師たちが貯めに貯めた、絶望に満ち満ち満ち満ちた記憶が、細胞遺伝子原子陽子アストラルレベルで詰まっている人体を。……まだまだ部品のストックはあるとはいえ、かーなーりー贅沢なあ、一体なんだよ。この、令堂和咲くんという作品の肉体は」
「だ、だ、だからっ、デタラメをいうな!」
「お得意の非詠唱にしても、出来て当たり前の話だよ。だって、脳が複数あるようなものなんだから。とはいっても、リミッターをかけな
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