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魔法使い×あさき☆彡
第二十ニ章 そう思うなら、それでも構わない
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される魔法の、様々な数値を計測するために。

 続いては、熱負荷対応時の魔力係数測定が行われたが、昨日とはまったく違う結果が出た。
 数値の上でも。
 見た目の上でも。
 自分が疲れてしまっていて、頭がぽーっとしていたかのが原因だろうか。本能が発動する魔法が甘くなってしまった。
 それとも、昨日はよい値が出たのだからと担当技術者が負荷を掛け過ぎてしまったためであろうか。
 魔力防衛がとても鈍く、着ている貫頭衣が完全に燃え尽きて、中の裸は皮膚という皮膚が黒焦げ、表面すべてが消し炭状態になってしまったのである。

 まあちょうどよい。
 とばかり、そのままメスで腹を裂かれて、この後の実験で試そうとしていた別の臓器を、幾つか交換させられた。

 さらには頭をレーザーナイフで割られて、脳の一部を交換させられた。

 脳の交換作業を終えた頃には、既に、メスで切り裂かれた腹部は塞がっており、傷の痕跡一つない。
 黒焦げでガサガサであった全身の皮膚も、綺麗ですべすべした薄桃色。
 ナイフで開頭された箇所も、塞がっているどころか、ふさふさとした赤毛が再生して、どんどん伸びてきている。

 ぽわんとした表情で天井を見上げながら、女性の技術者に、全裸の上からあらたな貫頭衣を着させられている。

 離れたところから、その様子を見ている白衣の男性たちの声が聞こえる。
 聞きたくないけど聞こえてしまう。


 ほんと、化け物だよ。
 生意気に、辛そうな顔で、こっち見てやがる。
 同情を引いているつもりかよ。


 言葉の意味は、もう分かるようになっていた。
 だから、悲しかった。
 でも、どうしようもなかった。

 消えたい。
 誰か、消して。
 粒子になって、空気に溶けてしまいたい。
 いや、粒子ですらいたくない。
 なんにも、なかった状態になりたい。
 無に戻りたい。

 心から、そう願っているのに、何故、魔法が働かないのだろう。
 傷を治すとか、熱いのやわらげるとか、そういう魔法は願ってもいないのに頭が勝手に唱えてしまうのに。

 一番かなえたいことが、何故かなわないのだろう。

 だけど、



 せめて、そういうこというのは、やめませんか。



 新しく配属されたらしい、最近ここでよく見るようになった、ぼさぼさ髪の男性(人間に男女の別あることを理解したのは、つい最近のこと)の、咎める口調。
 かねがね不満に感じていたことを、ぶちまけてしまったようだ。

 いわれた方が、声を荒らげ、いい返す。


 分かってっけど。
 いちいち同情なんかしてたら、やってられねえだろ。
 こんな仕事。


 そうかも知れないですけど……


 いいよ、別に。

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