第二百四十五話 函館入りその九
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「やはりな」
「食べることは大事ですね」
「そうだ」
英雄は紅葉に強い声で答えた。
「やはりな」
「獣や魔物にも命がある」
「魔物は倒せば銭になるが」
これは獣もだ、それと共にそうしたものも残す場合があるのだ、姿を消して銭だけを残すとは限らないのだ。
「身体を残せばな」
「獣も然りですね」
「その身体もな」
「全て使い」
「供養にもする」
「左様ですね」
「命を粗末にはしない」
何があろうとも、というのだ。
「そうすべきだ」
「そのことも忘れないことですね」
「どんな命も塵芥ではないからな」
決してというのだ。
「命の重さに違いはあるか」
「ないですね」
「例え一寸の虫でもな」
そうであってもというのだ。
「その重さはな」
「人と変わらないです」
「民を護る為に退治してもな」
「そのことは変わらないので」
「供養の為にだ」
「身体を使いますね」
「使えるだけな、異論もあるだろうが」
その肉を食い骨や毛皮を使うことはというのだ。
「しかしな」
「それでもですね」
「俺の考えとしてはな」
「そうされますね」
「これからもな」
まさにというのだ。
「無駄にはしない」
「あらゆる命は生きている限り他の命を奪います」
謙二は静かな声で述べた。
「菜食主義でもです」
「野菜や果物にも命がある」
「動かずとも喋らずとも」
そうであってもというのだ。
「やはりです」
「命がありな」
「生きる、即ち食べるとなりますと」
「命を奪うことになる」
「どうしても」
「それが命ある存在であり」
そしてというのだ。
「生きることです」
「その通りだな」
「ですからヴィーガンであっても」
そうした考えで行動を採っていてもというのだ。
「そして精進料理しか口にしておらずとも」
「命は奪うな」
「そうして生きていますだ」
「誰もがそうだな」
「ですから命を粗末にすることは」
このことはというのだ。
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