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『外伝:赤』崩壊した世界で大剣豪とイチャコラしながら旅をする
馬-わがはいはうまである-
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にも負けぬ気の強い女だが、この時ばかりは女になる。
人間というのは、よく分からない上に奇妙な生き物だ。

「…。」
「…。」

沈黙が流れ、ムサシの手が主の手と重なり、指と指が絡み合う。
これはあれだ。”おっぱじめる”つもりだ。
人間は家の中でやるものだと聞いたがまさか外でやり出すとは思わなかった。

「…。」
「…見ろ。オロバスも空気を読んでくれたぞ。」

勘違いしないで欲しい、主。
2人の空気を壊したくないから遠ざかったのではない。
私が気まずいから離れたのだ。
見張りも兼ねて散歩に行っといてやろう。
一、二時間ばかりここら辺をウロウロしていれば、そのうち疲れ果て眠るだろう。


私の束の間の休息。
あの二人の足となってからは、毎日が忙しいものだ。
とはいえ嫌いではない。むしろ好きだ。
退屈な牧場から私を連れ去ってくれた2人には感謝している。
刺激的な毎日。思う存分走れる毎日。
目に映る物が毎度新しく、飽きの来ない外の世界。
こんな毎日を過ごさせてもらっているせめてもの礼だ。

せいぜいこの命が果て、脚が動かなくなるその時まで、主とムサシをどこまでも運んでやろうではないか。

なぜなら吾輩は馬であるからだ。
名はオロバス。主に付けてもらった大切な名である。
そして私は、リンドウ ヤマトとミヤモト ムサシの忠実な馬だ。


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