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『外伝:赤』崩壊した世界で大剣豪とイチャコラしながら旅をする
馬-わがはいはうまである-
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しつこいことこの上ない。
広大な荒地を駆けていたところ、いきなり複数の装甲車がやってきた。
主とヤマトを乗せた私を囲むと、奴らは大声で叫びながら車の上についている大きな銃を私に向ける。
「武蔵、任せた。」
「ええ、任されまし、た!!」
しかし、大きな銃が火を噴く前に、ムサシが私から飛び去り、その車へと飛び移る。
「山本隊長のために負けるかあぁぁぁぁ!!!!」
何か意気込んではいるが、気合いだけではどうにもならない。
奴は大きな銃ごと真っ二つに斬られ静かになる。
それから次から次へとムサシは車へ飛び移り、どんどん無力化していく。
武器のなくなった車は何をするかと思えばこちらに幅を寄せてきたでは無いか。
なるほど、ぶつかるつもりか。
「オロバス。もっと速く走れるか?」
誰にものを言っている。
これより早く走るなど、造作もない。
横から私に体当たりをしようとした装甲車をかわし、推し潰そうとして新たにやってきた左右の車もなんなく走り抜ける。
「よいしょ。」
そうしてムサシが戻ってきたことを確認し、私はさらにスピードを上げた。
「飛ぶぞ。」
主がそう言った通り、目の前は大地に亀裂が走り崖となっている。
その間はかなり長い。普通に飛び越えるのなら不可能だろう。
だがしかし、私はオロバスだ。
主とムサシ。たかが二人程度を乗せてほんの四、五メートル飛び越えることなど造作もない。
そうして私達は、追っ手を振り切る。
奴らは止まるのが間に合わなかったのか、はたまた馬ができるのなら車でもとタカをくくったのか、無様に崖へと真っ逆さまに落ちていった。
落ちる際、奴らの「ヤマモト隊長ーーーー!!!」とかいうまたあの訳分からん雄叫びが聞こえてきた。
「…。」
崖を飛び越えたあと、振り返り奴らの無様な姿を見下ろしてやる。
滑稽なことこの上ない。
鼻で笑ってやり、私は主の思うがままに駆け抜けて行った。
?
「すまない。今晩は野宿だな。」
と、草を食む私にそう言うが別に構わない。
厩舎で至れり尽くせりなのも良いがこれもまた良い。
「野宿なんてだいぶ久し振りじゃない?」
「ああ、そうだな。」
焚き火の勢いを調整しながら、主はムサシと他愛ない話をする。
私の背中に乗っている時もずーっと話をしているが、飽きないのだろうか?
いや、確かにお互い好いているのは私でも知っている。
でもさすがにそこまで話していると飽きたりはしないのだろうか?
やはり、人間はよく分からない。
そうしていると、ムサシは主に寄り添う。
私を除き、二人以外誰もいないとムサシはそうなるのだ。
いわゆる、”女の顔”をするというやつだな。
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