第六十九話 先輩達と会ってもその十六
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「新一君の場合は」
「これは家のいんねんですか」
「そちらもあるかも。けれど多分ね」
「魂のいんねんがですか」
「強いわね」
「僕はそうなんですね」
「家のいんねんも当然あるけれど」
これは誰でもとのことです。
「それだけじゃなくてね」
「魂のいんねんもありますか」
「人は生まれ変わるから」
おみちの重要な考えの一つです、仏教にもありますけれど人は一旦出直してもそれでも何度も生まれ変わります。
「だからね」
「僕は前世からですか」
「そうしたいんねんを持っているのよ」
こうお話しました。
「絶対にね」
「そうなんですね」
「だからね」
新一君にさらにお話しました。
「そのいんねんを自覚して」
「これからどうするか、ですか」
「だからもう先輩達にあんなこと言わないの」
ここでまたこのことを注意しました。
「いいわね」
「物凄く悪い人達でもですか」
「高井先輩も佐野先輩も悪い人達じゃないわよ」
このことは私もよくわかっています。
「だって私一年あの人達と一緒にいたから」
「寮で」
「そう、どの先輩にもよくしてもらったし」
本当にお世話になりました。
「長池先輩にもね」
「あの人には特にですね」
「そうよ、同じお部屋でね」
あの一年のことは忘れられません。
「何もわからなかったし知らなかった私に何でも優しく教えてくれたのよ」
「いい人なんですか」
「そうよ、凄くね」
こう言い切ることが出来ます。
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