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『外伝:青』崩壊した世界に来たけど僕はここでもお栄ちゃんにいじめられる
傾国の乙女に甘やかされて堕とされる話
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をこの楊貴妃のモノにしたいのです。」
「っ!!」
大筆を振るう。
その一撃は当たらず、彼女は空中でふわりと一回転し、少し離れた場所に着地した。
「反抗、するんですね。」
「当たり前だ!」
「ですがそれももう、既に手遅れ…。」
彼女がそう言うと、ぼくの持っていた大筆が燃えた。
思わず大筆を手放し、次の武器を描こうとペンを手に取った瞬間、
「!!」
ペンが燃えた。
さらに着ていた服も燃えて灰になり、あっという間に丸腰にされた僕。
そして足に力が入らなくなり、その場にぺたんと座り込んでしまった。
「どう…して…?」
「言ったでしょう?もう手遅れだと。」
変だ。
立てない。それどころか指一本思うように動かせない。
気だるくてこのまま寝転がってしまいたいと思えてしまう。
それどころか、
「不思議そうな顔をしてますね…ええ。もうこの夢の世界は舞様のモノではなく、私のモノ。」
あの変なライチを食べずとも、身体がポカポカと暖かくなり、彼女に全てを任せたいと思うようになってしまっている。
「あ…あ…。」
「最初から疑うべきでしたね。あなたがああして私に甘えている間、この夢の世界の主導権は全て私が頂いてしまいました。」
「あ…うう」
「いってしまえばもう思いのまま。舞様はもう、この私の前では赤子同然なのです。」
何か言わないといけない。
でも、言葉が出ない。
どうやって話すんだっけ?そもそも話すって、どうやればいいんだっけ?
わからない。はなしかたが、きおくが、どんどんわすれていく…
「ご安心ください。じきに喃語しか話せなくなるので。それにこれから先、言葉は不要となります。あなたはただこの楊貴妃に身を任せ、甘えているだけで良いのです。」
近付いてきた楊貴妃はトン、と僕を押して仰向けに倒れさせる。
そのまま馬乗りになると、彼女は両手を頬に添え、恍惚とした表情を浮かべながら僕を見下ろして言った。
「それに舞様、仰ってくれたではありませんか。”なんでもしてあげる”と…。」
「…!!」
今になって気付く。
自分が言ってしまったことの取り返しのつかなさが。
色んなことを忘れながら、頭の中が空っぽになりながら、僕は自分のしでかしたことを後悔する。
「ふふ…とても悲しそうなお顔。ですが安心してください。舞様はもう泣いたり、悲しんだり、何かを耐えることは無いのです。ここでずぅっと、一生、この楊貴妃と共に文字通り夢のような日々を過ごすのですから。ね?」
まだ人並みの知識があるうちに見えた最後の光景は、
支配欲と独占欲の混ざった、天使のような悪魔の笑みを浮かべる楊貴妃の顔だった。
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