暁～小説投稿ｻｲﾄ～:DOREAM BASEBALL ～夢見る乙女の物語～　波乱の幕開け？

暁～小説投稿ｻｲﾄ～

DOREAM BASEBALL ～夢見る乙女の物語～　

波乱の幕開け？
[5/5]

…あの軟式野球のだよな？」
「だと思うけど……」

軟式野球ではランナー三塁の場面でスクイズではなくエンドランで攻撃を仕掛けることが多い。それは軟式特有の変形するボールであるためなんだけど、私たちがやっているのはもちろん硬式。となるとボテランを仕掛けてくるとは思えない。

初球はスクイズを警戒して大きく外したウエストでボール。次のボールはスライダーを内角に切り込ませてストライク。続く三球目で常成学園が動いた。

「走った！！」

三塁ランナーが後藤さんの踏み込む脚が地面に着くタイミングで走り出したのだ。リリースまでまもないタイミングでのスタートのため外すことはできずに真ん中低めへの投球となった。

低めからさらに落ちていくボール。しかしそこで違和感が襲ってきた。ランナーは止まることなくホームを目指しているにも関わらず打者はバントの構えを見せない。それどころか膝を深く曲げワンバウンド寸前のボールを叩き付けるように捉えると打球は一、二塁間へと転がっていく。

「一つ！！」

セカンドを守る笠井さんが腕を伸ばしてボールを捕球。ベースカバーに向かう後藤さんへと身体を反転させながら送球する。

「理沙！！バックホーム！！」
「え？」

ベースカバーに入った後藤さんが無事に送球を取り2アウト。それで終わりだと思われたところで常成はさらに仕掛けてきた。

三塁ランナーと共に走っていた二塁ランナーがそのままノンストップでホームへと走っているのだ。大河原さんが大声で指示を出すが後藤さんは走りながら送球を受けていたこと、左投げのせいでさらに身体を反転させなければならないことが重なり送球が遅れてしまった。

さらに良くないことに送球がショートバウンドのなってしまったのだ。大河原さんがミットを伸ばしなんとかこれを捕球することに成功。ただ、彼女のミットがランナーを捉えることはなかった。

「セーフ！！」

警戒をしていなかったこと、ピッチャーがベースカバーに入っていたこと、そして送球が逸れてしまったことによりタッチを行うことすらできず滑り込んできたランナーが生還。準決勝第一試合、優勝候補筆頭の東英学園が今大会初の失点を喫したことに球場中が異様な雰囲気に包まれていた。

[8]前話 [9]前最初 [1]後書き [2]次話

※小説と話の評価する場合はログインしてください。

[6]

[0]目次に戻る

暁～小説投稿ｻｲﾄ～
利用規約/ﾌﾟﾗｲﾊﾞｼｰﾎﾟﾘｼｰ
利用ﾏﾆｭｱﾙ/ﾍﾙﾌﾟ/ｶﾞｲﾄﾞﾗｲﾝ
お問い合わせ

2024 肥前のﾎﾟﾁ