第2部
スー
スー族の大陸
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う。
やがて鬱蒼と生い茂った林を抜け、開けた場所に出ると、澄み切った青空が視界に広がり、さわやかな風が吹き渡った。
目の前にはやはり丈の高い雑草が一面に広がっており、街道らしき道は一切ない。それは同時に、進むべき道が示されていないことを意味していた。
「ユウリ、あれ見て!」
私が指差した方を二人が見ると、山脈を背にしたはるか遠くに、人の家らしき建物が見える。それも一つではない。あきらかに集落だ。
「意外に早く見つかってよかったね」
「何呑気なことを言ってるんだ。ここからあそこまで、どのくらい距離があると思ってる」
「えーと……半日ぐらい?」
私の答えに、ユウリはあからさまにため息をついた。
「今日中に着くわけないだろ、間抜け女。少なくとも二日はかかる。途中で野宿できる場所を探すぞ」
距離的に半日ぐらいで着くのかと思っていたのだが、違うのだろうか。そう疑問に思っていた私だったが、歩いて行くうちにだんだんその理由がわかってきた。
街道がないのでほとんど草むらの中をかき分けながら進んでいく。それは予想以上に時間と体力を削っていった。ユウリが先頭で目の前の草や枝を切ったりしながら進んでいるおかげで、後ろにいる私やルカはそれほどでもないのだが、一番大変なのはユウリだ。途中私が先頭を代ろうかと提案したのだが、
「お前が先頭に行ったら確実に迷うだろ」
と身も蓋もないことを言われてしまったので、あえなく引き下がった。だが正直、即座に否定できるほど方向感覚に自信があるわけでもない。
さらにそんな視界の悪い草むらの中、突然魔物が現れることもあった。私やユウリは気配で魔物を察知できるから良いが、ルカはまだ魔物との戦闘経験が浅く、気配だけでは魔物との戦闘に備えることができない。
なので私が最後尾、ルカが真ん中に並ぶことで、安全面も考慮する形となった。それでも私たちだけで倒すのではなく、ルカにも魔物と戦う経験をさせてあげていたけれど。
そのおかげか、ルカのレベルが格段に上がった。私はと言えば……。
「やったあ! レベルが上がった!!」
一つだけだが、レベルが上がった嬉しさに歓喜の声を上げた。案の定、ユウリが白い目でこちらを見ている。
「レベルが一つ上がったくらいで騒ぎすぎだ」
「ご、ごめん」
「すいません、姉って昔からああいうところがあって……」
って、なんでルカまでため息ついて、ユウリの味方してるの!? なんか私だけ仲間外れにされた気分なんだけど?
ああ、ビビアンとアルヴィスがいてくれたらなあ。
私が遠い目をしながら先に歩くと、側に木があったのか、垂れ下がった枝の葉が私の目の前に現れ、危うく当たりそうになった。
「危ない!!」
突然ユウリに腕を掴まれ、葉に触れそうだった私の体は後ろに引っ張られた。
「
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