第十八話 やり取りをはじめてその五
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「善悪って出るそうよ」
「人相は言うわね」
「そう、ヤクザ屋さんみたいな」
「そうした人相の人はね」
「付き合ったら駄目で」
「何かしても」
「感謝もしないで、あと一旦何かしてもつけあがる様なら」
それならというのだ。
「もう次からはね」
「何もしないことね」
「そう言われたわ、悪人とはね」
「付き合わないことね」
「一切ね」
「それがいいのね」
「朱にも混じればって言うし」
かな恵はこの言葉も出した。
「お母さんも言ってたわ」
「おばさんよく大切なこと言うわよね」
留奈はかな恵の話に腕を組んでしみじみとして言った。
「人生のことを」
「そうよね、本当にね」
かな恵もそれはと頷いて応えた。
「お母さんってね」
「何かとね」
「大切なこと言ってね」
「教えてくれるわよね」
「そうなのよね、人生のことを」
「人生経験豊富なのね」
「何でもひいお祖母ちゃんに教えてもらったのよ」
ここでかな恵は種明かしをした。
「お母さんから見たらお祖母ちゃんね」
「その人になの」
「ひいお祖母ちゃんもう九十過ぎでね」
それだけの年齢になるというのだ、人間というものは長生きすればそれだけ人生の経験を積んで学ぶものである、大抵の場合はそうである。
「人生色々あったらしくて」
「それでなの」
「うん、大正生まれでね」
「大正って凄いわね」
留奈はそう聞いて素直に驚いた。
「もう百歳近いじゃない」
「それで実はひいひい孫の人もいるの」
「百歳近いから」
「そうなの」
「そう、それでね」
「人生経験も豊富なの」
「その間戦争あったしね」
まずはこれがあったというのだ。
「その後の大変な時期もね」
「復興している間ね」
「地震もあったし」
こちらもというのだ。
「だからね」
「色々経験してきて」
「そうしたこともあったから」
「色々知ってるのね」
「それでお母さんにもね」
かな恵の母にもというのだ。
「教えてくれてね」
「それがかな恵にもなのね」
「伝わってね」
そうしてというのだ。
「今もこうして言えるの」
「そうなのね」
「世の中何をしてもね」
「感謝しない人もいて」
「そんな人にはね」
それこそというのだ。
「何もしなくていい」
「そうなのね」
「下手したらちょっとしたことで怨んで」
これまでしたことを感謝もせずというのだ。
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